抄録
本稿は,人間-生活環境系学会の「地域課題調査研究委員会」の活動の一環として,暮らしの省エネルギー
と居住者の行動・意識について地域性の観点から考察することを目的とする。調査は,2016年11 月から2017年3
月に住宅の居住者(大学生とその保護者)にインターネットによるアンケートを実施した。本稿ではこれらのデー
タの内,中部・九州地域に着目し検討を行った。その結果,省エネルギーにかかわる環境調節行動では,冷暖房時
にドアを閉める,照明をこまめに消す,窓を開けて通風をするなど,日常生活で取り組みやすい行為の実行度合が
高いことが明らかとなった。また,中部と九州地域の冷暖房・給湯の設定温度は,夏と冬との間に有意な差がみら
れ,地域間においても違いがみられた。さらに,冷暖房の設定温度と冷暖房に対する考え方との関に有意な相関が
みられる項目が存在し,暖冷房観が冷暖房の設定温度に関係することを明らかにした。