山形県最上郡金山町は「金山型住宅」と呼ばれる地域型住宅の普及により森林資源の利活用や街並み・集落景観 形成に取り組む町である。本研究では金山町における地域型住宅の分布状況と家屋形態を把握する事を目的として町内 の住宅の悉皆調査を行った。その結果、全住宅 1,730 戸のうち 41.6%の 720 戸が地域型住宅として判定された。エリ ア別では市街地部に最も多く地域型住宅が存在する事が明らかになった。断面構成と入方向から地域型住宅を類型化し た結果、総 2 階妻入タイプと一部 2 階平入タイプが最も一般的な地域型住宅のビルディングタイプであり、前者は市街 地に、後者は集落部に高い割合で存在している。両タイプの地域型住宅は市街地と集落部で建築面積及び延床面積の傾 向が異なる他、桁裄・梁間方向の長さの比率が異なる。市街地と集落部の伝統的な住宅の形式の違いが影響し、集落部 では市街地とは異なるビルディングタイプの地域型住宅が建設されている可能性が示された。