抄録
本研究は、屋外における焚き火のUTCI上昇効果を明らかにすることを目的とする。測定は2020年9月19日の夜間に、愛知県春日井市に所在する宿泊施設において実施した。松を主とする薪を用いて焚き火を2回実施した。その間、焚き火の周辺において熱環境要素を測定した。その結果、以下の知見を得た。焚き火は、水平距離1.5m ‹地上1.1m›離れた地点の気温を最大3.5℃~3.9℃上昇させ、グローブ温度を最大4.7℃~6.1℃上昇させた。焚き火から1.5m離れた地点において、焚き火は熱源方向の面放射温度を最大32.5~36.3℃、熱源方向のUTCIを8.4~9.6℃、全身のUTCIを3.7~5.2℃上昇させた。一方、背面方向に対しては、温熱的効果は認められなかった。焚き火によるUTCI上昇効果は、焚き火からの距離が大きくなるにしたがって小さくなった。