抄録
本研究は、想像温度と熱環境適応との関係について考察することを目的に、秋冬季に女子大学生を対象としてアンケート調査と温熱環境計測を行った。想像温度は、「今、何度であるか?」と直感で想像する温度であり、温熱環境指標として広く利用されるPMVやSET*と比べ個人差を反映すると考える。また本研究では、既往研究で検討例の少ない「想像快適温度」についても検討し、より生活者の感覚と対応した評価を試みた。本研究のまとめは以下の3点である。(1)想像温度は、外気温や室温などの実環境と対応している。(2)想像温度と想像快適温度を組み合わせによって、熱環境適応の状況をより適切に評価できる。(3)想像温度は、心理的適応、生理的適応、行動的適応それぞれと関連しており、熱環境適応プロセスを理解するのに役立つ尺度といえる。