暑熱環境下における有効な冷却部位として、熱放散特性に優れた血管網(AVA)を持つ手足が挙げられる。本研究では手足を相転移型蓄冷材料(PCM)で冷却した場合の冷却効果を被験者実験により検証し、冷却量と生理応答における関係性について人体熱モデルを用いて検討していく。人工気候室で運動後冷却条件(気温、相対湿度、歩行速度が30℃、50%、4.0 km/h)で被験者実験を実施した。市販されているPCM素材の冷却剤を使用し手足を冷却した結果、血流が減少し深部温度が上昇した。冷却量や環境条件によっては、PCMによる手足冷却は血管を収縮させ人体放熱を阻害してしまうことがわかった。今後は、被験者実験によりPCMによる手足冷却によって深部温度が低下する条件を明らかにし、人体熱モデルへの応用を検討していく。