抄録
飼育用海水槽のある水族館の一室において、エアレーションに伴い海水槽の水面から海塩粒子が室空気へ飛散し、室内気流によって拡散しているとすれば、それが金属部に付着することでサビの発生を助長していることが考えられる。海水槽から海塩粒子が発生している場合に、換気や空調の吸込により、海塩粒子を効率よく除去する方法を検討するために、海水の入った水槽の置かれた水族館室内での海塩粒子の移動性状を、数値流体力学を用いて解析した。その結果、吸込口に近い海水面で発生する海塩粒子は、周辺の気流が静穏の場合、室に拡散することなく、発生から60-120sで吸込口に到達し、300s後の回収率は75%であった。一方、海水面が吹出気流に近く、流速が大きい場合、海水面上で発生する海塩粒子は広域に拡散し、吸込口に到達するのに発生から240-300sを要し、300s後の回収率は20%であった。