抄録
暑熱環境下におけるファン付き作業服着用が、心血管系反応にどのように影響を及ぼすか確かめるため、被験者実験を行った。28[℃]ないしは32[℃]の条件で3.0[METs]の運動をさせ、ファン付き作業服の着用を比較条件とした。休憩10分を中間に設定し、計80分間の運動負荷を被験者8人に課した。心拍間隔と部位別皮膚温(足背、下腿、大腿、背部、腹部、手背、前腕、前額)を計測し、心血管系反応を観測するために心拍間隔から心拍数を算出した。前額と背部の皮膚温を基に二元配置分散分析を行った結果、環境温度による暑熱ストレスとファン付き作業服による冷却効果が認められた。皮膚温計測部位のうち、背部と前額について心拍数との相関係数が大きかった。32[℃]条件、ファン付き作業服着用条件において、対照群より相関係数が高くなることが確認された。本研究では、その要因として湿性熱放散の観点から考察する。