日本病院総合診療医学会雑誌
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症例報告
免疫抑制薬内服中に口腔底蜂窩織炎 (Ludwig’s angina)を合併した一例
坂中 博昭鰺坂 和彦武岡 宏明鍋島 茂樹
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2017 年 13 巻 3 号 p. 22-25

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抄録

42 歳男性。X-3 年に当科で皮膚筋炎と診断され,プレドニゾロン・免疫抑制薬の内服を開始された。X 年左下顎大臼歯痛を自覚し,歯科にて,消毒と歯垢除去による治療を受けた。約 2 時間後左顎下部の熱感・腫脹・仏痛が出現し,当科を受診した。発熱と炎症反応の上昇があり,頸部造影 CT 検査を施行したところ,口腔底蜂窩織炎と診断されたため,当科に緊急入院となった。抗菌薬スルバクタム / アンピシリン(SBT/ABPC)12g/ 日の経静脈的投与を開始すると同時に,気道閉塞のリスクを考慮してデキサメタゾン 1.65㎎/日を 2 日間経静脈的に投与した。その後,次第に発熱と炎症反応は改善し,下顎の腫脹は消退傾向にあったため,CVA/AMPCの内服へ切り替え,病日 14 日目に退院となった。口腔底蜂窩織炎は顎下部間伱の急性感染症で,主に齲歯から発生する。稀な疾患ではあるが気道閉塞により死亡に至る可能性があるため,歯科疾患を有する免疫抑制状態の患者においては口腔底蜂窩織炎に注意が必要である。

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