日本病院総合診療医学会雑誌
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症例報告
多量の胸水によりpseudo-Meigs症候群が疑われた癌性胸膜炎を伴うStageⅣ婦人科進行癌の 2 例
北 嘉昭鈴木 徳之中野 美代子石田 尚利渡辺 慎藤本 晃久菅原 江美子石川 光也綾部 琢哉
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2017 年 13 巻 3 号 p. 32-36

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抄録

症例 1 は 70 歳女性。A病院で右胸水と診断され当院に入院した。胸水穿刺で class Ⅴの細胞を検出し,血中 CA19-9 862 U/mL,CA125 3,623 U/mLと高値であった。腹部CTで子宮内膜の不整肥厚と右卵巣腫瘍を認め,子宮内膜癌の右卵巣転移を疑い精査・加療目的でB病院に転院した。B病院で,子宮体癌原発,付属器・腹膜播種・リンパ節遠隔転移 cT3aN1M1 Stage Ⅳと診断され化学療法を施行した。 症例 2 は 71 歳女性。呼吸困難を主訴に当院受診し,右胸水貯留を認め当院に入院した。胸水穿刺でclass Ⅴの細胞が検出され,血中CA19-9 909U/mL,CA125 3,572 U/mLと高値であった。腹部CTで長径 134 mm の右卵巣腫瘍を認め,精査・加療目的でC病院に転院した。C病院で,腹式単純子宮全摘術,両側付属器切除,大網部分切除を施行。最終診断は卵巣明細胞腺癌,pT2CNxM1 Stage Ⅳ B で,術後化学療法を施行した。 日常診療にあって,総合診療医が女性患者に大量の胸水を認めた場合は,Meigs症候群,pseudo-Meigs症候群以外に婦人科系癌の胸膜播種を考慮に入れる必要がある。

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© 2017 日本病院総合診療医学会
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