抄録
胸部CTで傍椎体の軟部腫瘤が偶発的に見つかり経過観察していた。その後に特徴的な顔貌によりミクリッツ病が疑われ,顎下腺の生検を施行し病理組織よりIgG4関連疾患と診断した。傍椎体の病変に加え左腎外側にも軟
部組織病変を認め,これらはIgG4関連疾患による一連の病変が疑われ,ステロイド治療を開始した。ステロイド治療後,涙腺,唾液線,顎下線,傍椎体,左腎外側の病変は縮小した。IgG4関連疾患は様々な臓器の腫大や線維化をきたすが,傍椎体病変は今まで報告例は少ない。今回特徴的な顔貌からミクリッツ病を疑うことで,傍椎体病変はIgG4関連疾患によるものと診断できた。