抄録
都心部総合病院救急外来を受診した外国人患者の臨床的特徴を調査し,外国人診療における課題を検討した。2017 年 4 月から 9 月にかけて,日本医科大学付属病院救急・総合診療センターを受診した初診外国人患者 158 例を対象に,年齢,来院方法,緊急度トリアージ,疾患分類,出身国,在留方法,保険の有無を後方視的に調査した。平均年齢 38 ± 16 歳,来院方法では walk-in 131 例(83 %),救急搬送 27 例(17%)であり,トリアージでは緊急 4 %,準緊急 23 %,低緊急 50 %,非緊急 23 %であった。疾患分類では感染症 22 %,消化器疾患 11 %,外傷 8 %,精神疾患 5 %の順であった。出身国では中国 41 %,韓国 13 %,ネパール 8 %,フィリピン 8 %,アメリカ 6 %の順であり,在日外国人は 83 %,健康保険加入率は 75 %であった。患者は旅行者よりも,在日外国人が多く,健康保険の加入率も高かった。東京オリンピック・パラリンピックに向けて,外国人旅行者の急増が予想される中,医療通訳をはじめ,医療環境整備に取り組んでいく必要がある。