日本病院総合診療医学会雑誌
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症例報告
透析患者に発症した結核性リンパ節炎の治療効果判定にPET-CT検査が有用であった 1 例
川嶋 彩花三上 貴子尾﨑 慎司萩原 暢久安田 考志高村 宏明
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2019 年 15 巻 2 号 p. 92-97

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抄録
症例は 68 歳男性。8 年前に血液透析導入。他院にて透析管理中で,1 ヶ月前より発熱,CRP軽度上昇を認め,2 週間前より有痛性頚部リンパ節腫脹が出現したため当院を受診した。胸部CTで縦隔と両側鎖骨上窩リンパ節腫脹を認め,PET-CTで同部位に異常集積を認めたため精査目的に入院となった。リンパ節生検を行ったところ病理で広汎な壊死を伴う肉芽腫を認め,結核菌PCR陽性,培養で結核菌を認めた。 結核性リンパ節炎と診断し抗結核薬を開始。治療開始 4 ヶ月でPET-CTを施行したところ治療前の異常集積は消失しており,治療終了時の胸部CTでもリンパ節縮小は維持されていた。 透析患者では健常人と比較して肺外結核の頻度が高く,また悪性腫瘍の頻度も高いため,結核性リンパ節炎やリンパ腫などの腫瘍性疾患を念頭に置き精査を進める必要がある。本症例では治療前後にPET-CTを行い,治療により異常集積が消失したことを確認できた。PET-CTが結核の治療効果判定に有用である可能性が示唆された。
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