日本病院総合診療医学会雑誌
Online ISSN : 2758-7878
Print ISSN : 2185-8136
原著
熱中症と暑気中り(夏ばて)の一因としての不顕性副腎不全
瓜生 恭章高原 良典山本 智英原田 博雅
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2019 年 15 巻 4 号 p. 364-369

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抄録

【目的】熱中症,暑気中り(夏ばて)は,熱波の持続以外の病因は不明である。不顕性副腎不全はストレスを受けると症状が出現する。熱波の持続が不顕性副腎不全患者にとり,熱中症,暑気中りを発症する可能性がある。 【方法】救急搬送の熱中症 2 例,夏期に下痢がある治療中バセドウ病 1 例,ヒドロコルチゾン(HC)補充中の不顕性副腎不全 7 例は,再度の病歴聴取で過去 2,3 年の夏に消化器症状を聴取した。低用量(1-µg)コートロシン試験は,熱中症例は状態安定後,HC 補充を受ける不顕性副腎不全患者は 2 日間補充中止後に実施した。コルチゾル 30 分値 20 µg/dlを境界値とした。 【結果】全例コルチゾル 30 分値は境界値以下,HC 10~15 mg/day補充後,症状の再発はない。 【結語】不顕性副腎不全は熱中症,暑気中りの重要な原因になり得る。補液で状態の改善しない熱中症例には水溶性HCの点滴静注,毎年夏に消化器症状を繰り返す例には低用量コートロシン試験が望ましい。

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