日本病院総合診療医学会雑誌
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Print ISSN : 2185-8136
症例報告
救済手術により長期生存が得られた進展型小細胞肺癌の 1 例
彌勒寺 紀栄大熊 裕介堀尾 裕俊比島 恒和
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2021 年 17 巻 3 号 p. 287-292

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抄録

進展型小細胞肺癌(extensive disease small cell lung cancer;ED-SCLC)の標準治療後に原発巣の一部が残存し後に増大した場合,オリゴ転移性疾患に準じた局所療法が検討されるが,治療に関して確固たるエビデンスはない。症例.83 歳,男性。ED-SCLCに対してカルボプラチン+エトポシド併用療法を 4 コース行った。原発巣は一部残存したが,頚部を含む多発リンパ節転移はいずれも消失した。初回化学療法から 27 か月後,原発部位に残存していた楕円形結節が軽度増大した。診断および根治目的に救済手術を施行したところ,多形癌の像を呈する非小細胞肺癌を検出し,既知の小細胞肺癌と異なる組織像を認めた。現在,ED-SCLCの初回化学療法から 7 年,術後 5 年が経過し,無再発の状態である。結語.本症例は,ED-SCLCの残存病変に対する救済手術の意義を示した 1 例である。

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