抄録
医学部学生には各診療科での臨床実習が課せられている。座学のみでは得られないことを経験できるが,全ての学生が同じ経験をできるわけではない。学生個人が臨床実習中に経験した事例のうち,他の学生との共有が望ましいものを指導教員が抜粋し,学生が出題形式にした。2つの事例を呈示し,その取り組みを供覧する。
教授法と学習にはさまざまな様式がある。今回の取り組みは,早期臨床体験実習におけるレポート作成に加え,症例の問題を作成させることで,効果的な学習方法である「教えること」を取り入れている。問題作成を完成した際は,レポート作成とは異なる達成感が得られることも示唆された。また,指導教員による他者評価がなくても問題の完成,他の学生との問題共有を通じて,自己評価,他者評価の機会を得られる可能性がある。臨床医に必要な素養や知識を得るのに有用なほか,アクティブ・ラーニングの手法としても有用と考えられたため,報告する。