抄録
【目的】総合診療医を増やす方策を検討するために,総合診療医を志望する医学生を対象にキャリア選択要因を質的に探索した。
【方法】全国の 10 名の総合診療を志望する医学生を 2 グループに分け,2021 年 8 月にオンラインでフォーカスグループを実施した。逐語録をSCAT法で分析した。
【結果】参加者は地域医療,全人的医療への興味や,課外活動をきっかけに総合診療を志望し,幅広い臨床能力の獲得や,偶発的なキャリア,臨床以外のキャリアを計画していた。促進因子は,ロールモデルや指導医,地域医療との接点,分野の新しさであり,阻害因子は周囲からの評判,不明確なキャリアイメージ,卒前教育の不
足であった。
【結論】総合診療志望の医学生は地域医療や全人的医療への興味を背景に,課外活動や研修機会を通じた能動的な行動によりキャリアへの関心を深めていた。一方で,複雑化した専門医制度や不十分な卒前教育がその決断を思いとどまらせていた。