甲状腺が極めて大きいT3優位型バセドウ病の 2 例(患者1 ,48 歳,患者2 ,54 歳)で,
甲状腺全摘を行った症例を経験したので報告する。2 例とも男性で喫煙歴あり。患者1 と患者2 はそれぞれ約 18 年,約 13 年チアマゾールの治療歴あり。患者 2 では 2 ケ月間ヨウ化カリウムが投与されていた。受診時,患者1はfreeT3 10.22 pg/ml,freeT4 1.35 ng/dl(freeT3/freeT4 ratio 7. 57),TSH 0. 007 μU/ml,TRAb 37.3 IU/l,TSAb 2,422%,CT像から求めた甲状腺推定重は 435 g,患者2 はそれぞれ23.95 pg/ml,3.10 ng/dl(freeT3/freeT4 ratio7.73),< 0.005 μU/ml,> 40.0 IU/l,2,858%,
290 g であった。患者 2 ではエスケープと判断し,ヨウ化カリウムの投与を中止。チアマゾール増量等の治療を患者1では約 6 ケ月,患者2では約 7 ケ月行った後,甲状腺全摘を行った(摘出甲状腺重量:患者 1 は 490 g,患者2 は330 g)。両例術後,T4補充を行なった。術後,両例TRAbとTSAbは順調に低下した。当院受
診前,また当院での手術前,freeT3 は freeT4より相対的に高値の T3 優位型バセドウ病の病態であったが,手術後,T4補充中であるがT3優位は消失した。
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