日本病院総合診療医学会雑誌
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症例報告
Na 97.8mEq/Lと重度低ナトリウム血症をきたした 1 例
中村 元保加藤 晶人井上 元鈴木 恵輔八木 正晴土肥 謙二
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2022 年 18 巻 4 号 p. 251-257

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抄録
重度低ナトリウム血症はけいれん発作や意識障害,呼吸停止などを引き起こし,ナトリウム補正により脳浮腫などの合併症で致死的になることが多い。今回,良好な経過をたどった重度低ナトリウム血症症例を経験したので報告する。症例は 75 歳女性,全身性強直間代性痙攣が出現し当院へ搬送された。Na 97.8mEq/L と重度低ナトリウム血症のため厳格なナトリウムの補正を行った。重度低ナトリウム血症の原因としてナトリウムの摂取不足,甲状腺ホルモン低下と肺炎による ADH 上昇が考えられた。さらに粘液水腫性昏睡の併発が疑われ,レボチロキシンナトリウム内服にて反回神経麻痺のみ残存した状態で転院した。重度低ナトリウム血症に対し適切なナトリウム補正を行うことで重篤な合併症を避けることができた。積極的な原因検索,治療を行うことが重度低ナトリウム血症の予後の改善に寄与すると思われる。
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