2023 年 19 巻 6 号 p. 403-408
症例は85歳男性。右側背部痛を主訴に当科紹介。腹部超音波検査, CTで右水腎症があり尿管腫瘍が疑われた。尿細胞診では悪性所見なく, 尿管鏡検査で腫瘍部位はほぼ閉塞していた。生検で尿管間質にアミロイド沈着を認め, アミロイドーシスが疑われた。関節リウマチを疑う症状があり,メトトレキサート2mg/week投与で右水腎症は徐々に軽快し, 約1年後にほぼ消失した。5年経過後の現在も再発はなく, 腎機能も保たれている。尿路に限局したアミロイドーシスで尿路通過障害をきたした報告は稀である。外科的手術が行われている症例が多いが, 本症例では保存的治療で尿管狭窄が解除された。臨床経過,病理結果から関節リウマチに起因するAAアミロイドーシスではなく, AL型限局性結節性アミロイドーシスが自然軽快した可能性が高い。耐術能の低い患者の尿管腫瘍性病変に対しては病理診断のうえ, 可能な限り低侵襲な治療を目指すべきである。