2023 年 19 巻 6 号 p. 414-420
化膿性脊椎炎から膿胸を併発したと考えられる症例を経験した。 50歳代の健康な男性が腰痛の自覚と感染徴候を示し, 化膿性脊椎炎疑いで近医へ入院した。セファゾリン,クリンダマイシンで治療されたが, 化膿性脊椎炎に膿胸を併発したため当院へ転院した。当院ではセファゾリンの継続投与に加えて両側胸腔ドレナージを行い, 胸水と血液からメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出されたため胸腔洗浄と抗菌薬長期投与を行い, 軽快退院した。 化膿性脊椎炎の発症機序, および化膿性脊椎炎と膿胸の関連について血流を介した感染拡大が強調され, また脊椎系に特有なBatson静脈叢が注目されている。自験例もこの関与が示唆される。 化膿性脊椎炎の治療は感染創の浄化と抗菌薬の早期からの, かつ長期間の投与が重要である。