日本病院総合診療医学会雑誌
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研究短報
COVID-19流行が内分泌検査数に与えた変化
大塚 勇輝 古川 雅規東影 明人大塚 文男
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2024 年 20 巻 1 号 p. 18-21

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抄録

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い医療へのアクセスが制限されたが, 本邦において臨床検査に与えた影響については明らかとなっていない。2017年から2022年までの6年間に岡山大学病院において測定された内分泌検査測定件数を経年的に比較すると, 入院・外来ともにCOVID-19禍の3年間ではそれ以前に比してACTH・Cortisol, GH・IGF-I の測定件数は増加していた一方で, TSHや遊離T4, Renin活性(PRA)や Aldosterone(Aldo)の件数は減少しており, 特に外来における変化は TSH(平均値:19173件 vs 17512件),PRA(322件 vs 251件),Aldo(472件 vs 306件) と有意であった。内分泌疾患を有す,或いは疑われる患者に対する対面診療での測定依頼が減ったことや, 倦怠感など機能低下で生じうる症状を呈する患者が増えたことがその要因ではないかと考察された。COVID-19の流行が少なくとも部分的に本邦での医療の質に影響を与えた可能性が示唆され, その要因分析が今後の課題と思われた。

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