日本病院総合診療医学会雑誌
Online ISSN : 2758-7878
Print ISSN : 2185-8136
原著
大学病院総合診療科における女性外来の現状と受診患者の特徴
太組 由貴奈良 典子斎藤 真理長谷川 修
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2012 年 3 巻 1 号 p. 58-62

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抄録
女性外来の特徴および有用性を検討するため,2007 年 4 月から 2 年 6 カ月間の女性外来の初診患者 91 名について調査し,当院総合診療科一般外来の初診女性患者 152 名と比較した。 女性外来は一般外来女性患者に比較して年齢が若く(平均 45 歳対 51 歳,p < 0.05 ),診断を求める例も少なかった( 53.8 %対 75.0 %,p < 0.01)が,当科外来受診前に 3 施設以上の医療機関に受診している例が多かった( 25.3 % 対 5.6 %, p < 0.001 )。また,女性外来患者は 3 種類以上の愁訴を抱えている例が多く,特に明らかな器質的疾患を認めなかった 84 名のうち 37 %が身体症状と精神症状を併せ持っており,実際に抑うつ自己評価尺度(SDS)では全体の 73.6 %が抑うつ領域を示していた。そのため専門医への受診依頼としては精神科が 40.7 %と最も多かった。このような症例の中には漢方治療による改善例がみられた。 外来診療時間は女性外来では平均 53 分と一般外来の 32 分に比較し有意に長かった( p < 0.001 )。女性は性周期をもっことから心身ともに不安定となりやすく,特有の様々な愁訴がみられるため,一般外来の短時間診療では解決しがたく,精神科との連携あるいは漢方診療が必要と思われた。
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