日本病院総合診療医学会雑誌
Online ISSN : 2758-7878
Print ISSN : 2185-8136
3 巻, 1 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
総説
  • 高久 史磨
    2012 年3 巻1 号 p. 1-2
    発行日: 2012/02/29
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
  • 杉本 元信
    2012 年3 巻1 号 p. 3-7
    発行日: 2012/02/29
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
  • 浅川 満彦
    2012 年3 巻1 号 p. 8-11
    発行日: 2012/02/29
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
  • 徳田 安春
    2012 年3 巻1 号 p. 12-16
    発行日: 2012/02/29
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
    循環器系疾患には,急性心不全のように頻度が多く,重要な疾患がある。 また,頻度は少ないものの,診断の遅れが致命的となる重篤な疾患として,大動脈解離,大動脈瘤切迫破裂,肺塞栓症,心タンポナーデ,などがある。 このような疾患の患者アウトカムを改善させるためには早期治療が必要であり,そのためには臨床現場の最前線に位置する総合診療医による早期診断が重要である。 循環器系疾患の早期診断のためには,病歴の詳細な聴取に加え,正確で適切な身体診察を行うことが望まれる。 この教育講演では,循環器系の身体診察とそのピットフォールについてみていくが,症例をべースにして,重要な循環器系疾患の身体所見について解説する。 心不全,心原性ショック,大動脈解離,大動脈瘤切迫破裂,肺塞栓症,心タンポナーデ,心原性浮腫などの症例を通じて,身体診察とそのピットフォールについて学習する。 身体診察のスキルには次にあげるようなものを取り上げる。 すなわち,バイタルサインの解釈とショックの鑑別診断,静脈圧の測定,脈の「対称性の破れ」,聴診器の使用法,心音(過剰心音)と心雑音の聴診(収縮期雑音と拡張期雑音のそれぞれの鑑別),奇脈,脈拍欠損,Pit Recovery Time,などについてである。心不全診断に必須の,静脈圧測定,心拍動の触診,過剰心音の聴取,肺クラックル音聴取についてもみていく。
  • 長谷川 修
    2012 年3 巻1 号 p. 17-22
    発行日: 2012/02/29
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
    1.バイタルサインの重要性を知る。脳病変の有無による意識障害時の血圧の違い,脳ヘルニアの進行に伴うバイタルサインの変化を理解する。 2.身体診察は最小限に。ADLの聴取で代用できる部分が多い。なぜ, ADLが低下したのかを考える。特異度の高い少数項目を大切に診察する 3. ADLすべてが神経症候を表す。ADLは普遍的,具体的で,自然な負荷試験となっている。神経学的所見の代わりに,日常生活活動,コミュニケーション能力,問題行動を明示するだけでもかなりの情報が得られる。 4.病態生理と解剖の両面から診断に到達する。症状の起始経過から病態生理を,出現している症状から解剖を頭に描く。どこにどんな病変があるかが診断である。 5.器質病変と機能病変に分ける。器質病変は,局在を含む固定症状をもち,検査で確認される。機能病変は症状が出没し,検査異常を捉えにくい。不適切な生活習慣を排除し,社会適応を目標とする。患者の不安を除去することが大切である。 6.脳全般症状と局在症状に分けて考える。全般虚血による失神と局所虚血によるTIAとは異なる。意識障害はfocal signの有無で分けると理解しやすい。 7.神経症状の 1 / 3 にはメンタル面が関与している。検査地獄に陥らないために,症状が出現する機序を患者本人が理解できるように説明しよう。
  • 水島 孝明
    2012 年3 巻1 号 p. 23-26
    発行日: 2012/02/29
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
    IgG4 関連疾患(IgG4-related disease)は,血清IgG4 高値と罹患臓器への著明なIgG4 陽性形質細胞浸潤を特徴とする全身性,慢性炎症性疾患で,本邦から世界に発信している新しい疾患概念である。 高IgG4 血症を伴うシェーグレン症候群の報告後,自己免疫性膵炎,ミクリッツ病,これらに伴う腎・肺病変などで高IgG4 血症と膵臓や涙腺/唾液腺に著明なIgG4 陽性形質細胞浸潤が認められることが明らかになり,疾患概念が形成されていった。 免疫染色において,組織における著明なIgG4 陽性形質細胞の浸潤と線維化像である。 IgGには 4 つのサブクラスがあり,正常血清ではほとんどがIgG1で,IgG4 はIgG1 の 1 /20 程度しか存在しない。IgG4 関連疾患における臓器障害は,症例によって異なり特定の障害臓器はない。 IgG4 関連疾患の診断基準はまだ確立されておらず,診断は自己免疫性膵炎の診断基準に準じて行うが,膵病変を有さない症例があるため当院では次の診断基準を設定した。 当院における診断基準としては, 1.血清IgG4 値 ≧ 135 mg/dl。 2.膵腫大および膵管の狭細像または,硬化性胆管炎,涙腺・唾液腺炎,後腹膜線維症,間質性腎炎を認める。 3.上記臓器いずれかにIgG4 陽性形質細胞を 上記の1 〜 3のうち 2 つ以上を認めるものとした。 我々は当科におけるIgG4 関連疾患の臨床像の検討を行った。男女比は 4 : 1 で男性に多く,平均年齢は約 65 歳。もっとも頻度の高い膵病変はおおよそ 3 分の 2 に認め,耐糖能異常を合併していた。 次いで胆管,唾液腺,後腹膜,腎の順。全症例の平均障害臓器数は 2.9 臓器。 障害臓器数と血清IgG4 値の多寡とは相関を認めず,また血清IgG値が基準値にある症例でも血清IgG4 が高値となる症例も認めた,治療はステロイド治療を原則とするが,臓器障害による症状が軽度の場合は無治療で経過観察。 近年はIgG4 関連疾患は決して稀な疾患ではなく,全身さまざまな臓器に障害を及ばすため,各領域の科でも本疾患を周知すべき疾患である。
  • 竹内 基
    2012 年3 巻1 号 p. 27-31
    発行日: 2012/02/29
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
  • 中西 員成
    2012 年3 巻1 号 p. 32-36
    発行日: 2012/02/29
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
    レニン発見以来,体液・電解質バランンスおよび血圧に関与する体循環調節系としてのレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系 (Renin angiotensin aldosterone system:RAAS)は生体の食塩保持・血圧維持に重要なシステムとして広く研究されてきた。 最近のRAAS系に関する病態生理の解明および臨床応用の進歩には目覚ましいものがあり,(プロ)レニン受容体の発見以来,現在は古典的なRAAS系の概念から発展し,局所RAASあるいは組織RAASに関心は向かっている。心・腎・脳・血管などにおける数多くの最新の知見がその重要性を証明している。 RAASは循環維持のみならず心・腎・脳・血管疾患など生活習慣病につながる疾患と大いに関連しており,RAASをターゲットにした治療は,各疾患における生命予後および合併症の抑制からQOL改善にもつながる重要な治療法である。 今回のセミナーでは(プロ)レニン受容体についての知見を中心に, ①プロレニン受容体と組織RAAS,特にプロレニンのリガンドとしての作用 ②アルドステロンプレークスルー ③アンギオテンシン( 1-7 )とACE2 ④併用療法(特にカルシウム拮抗薬(CCB))と最近の高血圧治療に必要な知見を紹介する。
  • 本田 善子
    2012 年3 巻1 号 p. 37-40
    発行日: 2012/02/29
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
    日常診療の中で腹痛は頻度の高い主訴である。 その中で緊急性を問われる「急性腹症」については限られた時間内で手術や緊急処置の必要性を判断しなければならない。腹部単純X線検査は一般検査に含まれる「画像検査」であるが,超音波やCTの急速な普及により,その存在意義が問われている現状にある。 しかし撮影が簡便,腹部全体の情報収集が可能,CT検査に比べて被曝線量が極めて低いなどの利点もあり,初療の段階で撮影される場合も多いと考えられる。 腹部単純X線検査で描出されるものには,ガス像(消化管内外),軟部組織や腫瘤陰影,腹腔内貯留像,石灰化像や異物などがある。 遊離ガス像は,消化管穿孔の診断に極めて重要な所見であるが,腹部単純X線では検出率約 70 %である。 穿孔以外にも腸管気腫性嚢胞症により遊離ガスが出現することがある。 肝臓に一致したガス像では,門脈内ガス,胆管内ガスが見られる。 門脈内ガスでは腸管壊死を疑う必要があり,腸管麻痺や壁内ガス像の有無に注意が必要である。 多量の消化管ガスは腸閉塞に代表される。最も重要なのは,緊急性の高い絞扼性腸閉塞の鑑別である。 絞扼性腸閉塞ではclosed loopを形成し内腔には液体が貯留してくるためX線で無ガス像を形成する。腹部単純X線で診断が容易な疾患としてS状結腸捻転のcoffee bean signがある。回盲部捻転症も盲腸の拡張と位置異常そして盲腸の右側に小腸ガスが存在するなどの特徴的所見がある。 石灰化像や結石陰影では,胆石,腎結石,虫垂結石や子宮筋腫などがある。 特に胆石イレウスでは,小腸閉塞像と腸管内の結石像および胆道内ガス像が描出され,単純X線のみで疑うことができる疾患のひとつである。 腹部単純X線の利点を更に生かしていくためには,各診療医の読影能力をより高める努力が必要と思われる。
  • 小川 栄一, 古庄 憲浩, 林 純
    2012 年3 巻1 号 p. 41-47
    発行日: 2012/02/29
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
    慢性肝疾患の予後は,しばしば肝線維化の程度により決定されるため,その評価は非常に重要である。 2005 年にフランスで開発されたFibroScan(フィブロスキャン)は,肝臓の弾性度を迅速に,非侵襲的に定量評価ができ,繰り返し測定できる利点がある。 著者らは,B型・ C型慢性肝炎患者に肝生検による肝病理組織評価とFibroScan測定を行った結果,非常に高い相関が得られた(HBV : r = 0.725,P < 0.0001,HCV : r = 0.807,P < 0.0001 )。 抗ウイルス治療による経時的な評価を検討した結果,C型慢性肝炎のペグインターフェロン (Pegylated Interferon : PEG-IFN)・リバビリン (Ribavirin : RBV)併用療法により,持続的ウイルス陰性化(Sustained virological response:SVR)が得られた症例では,治療終了 4 年後までの検討で,年次的にFibroScan値が改善した。 B型慢性肝炎も同様に,核酸アナログ治療により経時的なFibroScan値の改善が得られたが,治療効果は 3 年に留まり,HBVによる肝組織炎症の持続を反映していると考えられた。 その他,FibroScanは肝線維化の代替指標に留まらず,肝発癌の高危険度群の囲い込みにも有効であることが報告されている。また,急性肝炎等により肝細胞の炎症が高度になると,肝細胞の膨化・変性(ballooning)により,高い測定値が得られる傾向にあるため,病態に応じた測定値の解釈が必要である。 FibroScanは,有腹水・肥満患者では測定困難であるが,非侵襲で繰り返し測定出来る点が最も大きな利点であり,治療開始前の評価のみならず,治療後の経過や予後,発癌の予測にも有効であり,総合診療医が慢性肝疾患を管理する上で非常に有用であると考えられる。
  • 千田 彰一
    2012 年3 巻1 号 p. 48-49
    発行日: 2012/02/29
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
  • 古庄 憲浩, 小川 栄一, 林 純
    2012 年3 巻1 号 p. 50-57
    発行日: 2012/02/29
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
原著
  • 太組 由貴, 奈良 典子, 斎藤 真理, 長谷川 修
    2012 年3 巻1 号 p. 58-62
    発行日: 2012/02/29
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
    女性外来の特徴および有用性を検討するため,2007 年 4 月から 2 年 6 カ月間の女性外来の初診患者 91 名について調査し,当院総合診療科一般外来の初診女性患者 152 名と比較した。 女性外来は一般外来女性患者に比較して年齢が若く(平均 45 歳対 51 歳,p < 0.05 ),診断を求める例も少なかった( 53.8 %対 75.0 %,p < 0.01)が,当科外来受診前に 3 施設以上の医療機関に受診している例が多かった( 25.3 % 対 5.6 %, p < 0.001 )。また,女性外来患者は 3 種類以上の愁訴を抱えている例が多く,特に明らかな器質的疾患を認めなかった 84 名のうち 37 %が身体症状と精神症状を併せ持っており,実際に抑うつ自己評価尺度(SDS)では全体の 73.6 %が抑うつ領域を示していた。そのため専門医への受診依頼としては精神科が 40.7 %と最も多かった。このような症例の中には漢方治療による改善例がみられた。 外来診療時間は女性外来では平均 53 分と一般外来の 32 分に比較し有意に長かった( p < 0.001 )。女性は性周期をもっことから心身ともに不安定となりやすく,特有の様々な愁訴がみられるため,一般外来の短時間診療では解決しがたく,精神科との連携あるいは漢方診療が必要と思われた。
  • 鳥飼 圭人, 中谷 信一, 石井 修, 山﨑 行敬, 稲村 祥代, 西迫 尚, 根本 隆章, 武岡 裕文, 中川 禎介, 成田 信義, 杉森 ...
    2012 年3 巻1 号 p. 63-68
    発行日: 2012/02/29
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
    【目的】聖マリアンナ医科大学病院総合診療内科で入院精査を行った発熱患者(腋窩温 37.0 ℃ 以上)を診断に至った群(診断群)と診断に至らなかった群(非診断群)に分類し,両群間の臨床像を比較することにより,発熱診療の実態について考察する。 【方法】診断群 30 例と非診断群 17 例の血液検査値,最終診断,予後等を診療録より調査した 【結果】診断群の内訳は感染症 33.3 % ,膠原病 26.6 % ,悪性腫瘍 3.3 %,その他 36.6 %,確定診断まで中央値 24.8 日,死亡 4 例であった。非診断群は解熱まで中央値 23.1 日で,退院後の経過観察中に解熱した 1 例を除いて全例が入院中に解熱し,死亡例はなかった。年齢の中央値は診断群 62.7 歳,非診断群 43.1 歳(p < 0.01 ),血清C-reactive protein (CRP)値の中央値は診断群 9.425 mg/dl,非診断群 3.63 mg/dl(p < 0.05)であった。 【結論】入院精査を行った発熱患者において,診断群は非診断群と比較し高齢,CRPが高値であり,また臨床像にそれぞれの特徴があった。
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