抄録
症例は既往にクローン病があり前医で抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤(インフリキシマブ)を使用され臨床的寛解が得られていた 25 歳女性。
発熱,咽頭痛にて加療中,皮疹と意識障害が出現したため原因精査加療目的で当院へ転院となった。
抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤使用中であり細胞性免疫抑制状態と考えられたため,細菌性,ウイルス性,結核性の髄膜炎を念頭に治療開始。
意識状態は改善を認めるも発熱,咽頭痛,皮疹が持続し,自己免疫性の機序が考えられた。
皮膚の病理検査にてneutrophilic dermatitisと診断され,スイート病の診断基準に合致,コルヒチンを投与したところ症状は速やかに改善を認め退院となった。
クローン病とスイート病の合併を示す報告は複数あり,自己炎症性疾患との関連が疑われた。
クローン病の既往がある患者に発熱,皮疹,咽頭痛が出現した場合,感染,クローン病の増悪と共にスイート病の併発も鑑別として挙げる必要があると考えられた。