日本病院総合診療医学会雑誌
Online ISSN : 2758-7878
Print ISSN : 2185-8136
短報
頑固な骨性腰痛は多発性骨髄腫を考える
上田 莉紗奈良 典子長谷川 修
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2013 年 5 巻 1 号 p. 23-26

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抄録
腰痛は多発性骨髄腫(MM)患者の 58 〜 70 % にみられるが,高齢者でみられる一般的な症状でもある。 MMは腰痛から発見されることが多いが,診断を得るまでにしばしば時間を要し, 一般的な腰痛との鑑別が難しいことが窺える。 MMでみられる腰痛の特徴は,朝のこわばりを伴わず,安静時の持続性疼痛で,一般的な鎮痛薬では効果が薄く,局所に叩打痛や圧痛を伴う,頑固な痛みと要約される。 骨髄腫は赤色骨髄を侵すため,骨病変は頭蓋骨や脊椎など躯幹骨に多くみられる。 他の腰痛との鑑別には, ①数カ月以上の長期間, ②緩徐進行性, ③安静時の持続痛, ④頑固な痛み, ⑤NSAIDsの効果が不十分, ⑥痛みが広範囲, ⑦突然病的骨折を起こす,などの特徴が役立つ。 MM患者でしばしばみられる,高カルシウム血症,貧血,蛋白尿,血沈とCRPの乖離,総蛋白とアルプミンの乖離など,診断補助所見にも言及した。
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© 2013 日本病院総合診療医学会
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