日本病院総合診療医学会雑誌
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短報
糖尿病患者の短趾伸筋萎縮は女性に強い
長谷川 修奈良 典子太組 由貴岩田 史歩孑林田 仁至
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2014 年 6 巻 2 号 p. 72-74

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抄録
日本人は畳上に正座する習慣があるため,足背部で腓骨神経の圧迫性障害を生じやすいとの都市伝説がある。正座習慣は,とくに中年以降の女性に多くみられる。 また,腓骨神経伝導検査における複合筋活動電位(compound muscle action potential ; CMAP)の記録は,通常短趾伸筋から行われる。 この都市伝説を検証するために,男性1,251 名・女性 858 名の糖尿病患者で,各神経刺激により測定したCMAP振幅を比較した。 対象の年齢は男性がやや低かったが,神経伝導速度指標や感覚神経活動電位振幅指標からは,男性の神経障害が女性よりやや重いと考えられた。 各CMAP振幅は,正中神経(短母指外転筋)と腓骨神経(短趾伸筋))で女性が有意に低かった。 手の小さい女性で手根管症候群が多いことはよく知られている。 腓骨神経でも女性のCMAPが小さかったことは,女性で局所性腓骨神経障害が起きやすく,これが正座習慣と関係している可能性が示唆された。
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© 2014 日本病院総合診療医学会
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