症例は 52 歳女性。関節リウマチ(RA)発症後 3 年で糖尿病を発症した。
HbA1c 8.8 %,随時血糖 300 mg/dLを認め,インスリンアスパルトを朝 36 単位,昼 37 単位,タ 16 単位投与したが,食後血糖 400 mg/dL,空腹時血糖 40 mg/dLであり,低血糖を頻発する不安定型糖尿で紹介入院となった。身長 151 cm,体重 31 kg,BMI 13.6 kg/m
2,体脂肪率 3 %,腎症,末梢神経障害,網膜症は認めなかった。入院時CRP 4.94 mg/dL,HbA1c 7.6 %,抗GAD抗体陰性だった。
入院後,インスリン抗体は検出されず,肝硬変症や慢性膵炎は認めなかった。
体脂肪率が著明に低値で,インスリン抵抗性もあるため,脂肪萎縮性糖尿病を疑ったが,レプチンやアディポネクチンは基準値内であった。一方,インスリン投与前の早朝空腹時血中IRI 617.7 uU/mL,CPR
7.37 ng/mL,空夏時血糖 40 mg/dLと高度のインスリン抵抗性が示されたため,抗インスリン受容体抗体(RAA法)を測定したところ陽性であった。
RAに合併したインスリン受容体異常症B型と診断した。関節リウマチの治療にTNF阻害薬エタネルセプト 25 mg/週の投与を開始し,CRPは 0.03 mg/dLとRA疾患活動性も低下した。
血糖コントロールの改善は,TNF阻害薬によるRA活動性の抑制がインスリン抵抗性の改善に関与したと考えられた。
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