日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
豊田地域における施設の枠を越えた多面的な糖尿病地域連携
篠田 純治
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2009 年 10 巻 2 号 p. 432-437

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抄録

 豊田地域 (愛知県豊田市) の糖尿病対策として、1次予防から3次予防までシームレスな対応のできる地域一体の医療連携が必要と考えて活動してきた。トヨタ記念病院では紹介外来システムと短期体験入院システムが確立しており、糖尿病の初期指導や見直しの役割を果たしている。地域においては少人数での自由討論形式を中心にした会合を重視して考え方のわかる連携を重ねている。地域のメディカルスタッフが主体に運営する豊田糖尿病スタッフスキルアップセミナーが活動しており、研鑚しながら地域の各職種で共有できるデータベースの検討をしている。2005年からは地域全体の連携を目指して、病院・診療所だけでなく、行政・産業医さらに健保組合も含んだ豊田市糖尿病対策地域連絡会議を行っている。この会議で啓発のためのパンフレットの作成、基本健診データの解析・アンケート調査などを行った。さらに栄養士のいない開業医で栄養指導ができる体制について検討を重ねて、糖尿病だけでなく脂質異常症なども含めた生活習慣病対策栄養サポート体制を構築した。また産業医との連携で早期体験入院を勧めて職域全体のHbA1c低下につながってきている。
 施設や組織の枠を越えた地域の糖尿病対策・疾病管理として、地域全体がひとつの施設のように人材も情報も共有という考えをもって活動している。糖尿病については単純な病診連携では不十分で多面的・包括的な対策が必要である。

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