日本医療マネジメント学会雑誌
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10 巻 , 2 号
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原著
  • 岩下 由加里, 坂本 すが, 小林 寬伊
    2009 年 10 巻 2 号 p. 358-363
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     介護の目的は、自立支援である。介護を必要としている高齢者が、自分のことが少しでも自分でできるようになり、生きがいある老後を送れるような生活を確立することである。その目的を達成するために、多くの病院で普及しているクリティカルパスを介護領域に活用することにより、改善の効果を目指した。介護サービスでは、提供する介護スタッフによるケアのバラツキを最小限にとどめることが重要である。 今回、 介護の力で健康増進、 生活を整えること、機能訓練を中心にしたケアを標準化することにより、自立支援を目的とした日本初の要介護度改善介護クリティカルパスを開発した。その結果、要介護度改善クリティカルパスに基づいた介護ケアを実践することで、日常生活動作 Activities of Daily Living(ADL)の向上に成功し、要介護度の維持・改善が達成され、介護サービスでの質の標準化に貢献することができた。病院での医療の質を向上するために貢献しているクリティカルパスは、介護サービスにも有用であると考えられる。
  • 小松 恒彦, 木村 優子, 鞍馬 正江, 小関 迪
    2009 年 10 巻 2 号 p. 364-370
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     悪性リンパ腫と急性骨髄性白血病(AML)に対する化学療法におけるDPC対応型クリティカルパスを作成し、支払い方式別の医業収益を推計した。対象レジメンは、悪性リンパ腫はABVD療法、Biweekly CHOP療法、R-CHOP療法、R-FND療法、AMLは寛解導入療法、地固め療法など60歳以上症例を対象とした4種類と、60歳未満症例対象の4種類で合計12種類を推計対象とした。医業収入は、出来高払いの場合は、診療報酬点数及び薬価とその実施回数から患者 1人あたりの収入を算定した。DPCによる包括払いの場合は、DPC点数に基づき計算した。原価は、クリティカルパスを構成する医療行為の材料費(薬剤費、臨床検査費、入院時食事療養費)と治療・ケアにおける医師・看護師の人件費を対象に算定した。悪性リンパ腫においては、入院日数の大幅な短縮によりDPC対応入院+外来化学療法では、従来の DPC非対応型クリティカルパスより患者1人あたりの収益は減少した。一方、AMLにおいては、DPC非対応型クリティカルパスよりDPC対応型クリティカルパスの収益が増加した。
     血液がん領域におけるクリティカルパスの導入は、病院経営の観点からも非常に有用であり、特にDPCを導入する病院においては、極めて重要な経営管理ツールになりうるものと考えられた。
  • 第 1 報 患者別原価計算システムの構築と未破裂脳動脈瘤での検証
    藤本 俊一郎, 合田 雄二, 平井 有美, 大橋 智明
    2009 年 10 巻 2 号 p. 371-378
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     DPC対象病院においては診療報酬が包括支払いであるため、コスト管理とともに報酬の範囲内で必要な治療を行うことが経営上要請される。当院ではクリティカルパスを用いて診療の標準化・効率化を図ってきたが、さらに原価情報を分析するため、患者別原価計算システムを構築した。医事会計システム、DPC ソフト、電子クリティカルパスソフトからの情報を原価計算システムに集積し、人事・給与データを活用して分析した。未破裂脳動脈瘤クリッピングのクリティカルパス使用患者12例で原価計算を行い、収入は22,194,125円、原価は5,538,825円、収益は16,655,300円、収益率は75%であり、1人当たりの収益は1,387,941円であった。原価計算・収益原価構造グラフでの検討で収益の大部分は手術による収益であることが明らかになった。平均在院日数は入院期間Ⅱの範囲内で、DPC 収入も出来高収入を上回っており、未破裂脳動脈瘤クリッピングのクリティカルパスはDPCに対応できていると判断した。
     クリティカルパスと患者別原価計算を融合することは、臨床的ベストプラクティスと経済的ベストプラクティスを可視化することができ、医療の質向上と経営基盤の確立に貢献できると考える。
  • 岡村 菊夫, 長谷川 友紀, 野尻 佳克
    2009 年 10 巻 2 号 p. 379-385
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     全国1,213の日本泌尿器科学会教育施設に対して行った前立腺全摘除術周術期管理に関するアンケート調査(回収率60%)をもとに施設背景因子とクリティカルパス使用率、周術期管理各種設定との関連を検討した。クリティカルパス使用率は中国四国地方、病床数が401床以上、泌尿器科医師数3人以上、泌尿器科病床数が31床以上の病院で高く、 年間前立腺全摘除術件数が多くなるほど高くなり、逆に泌尿器科病床が10以下の病院、オーダリングシステムも電子カルテも導入していない病院、ICU・麻酔科のない病院で低かった。多変量ロジスティック回帰分析では、地域(東海北陸、中国四国)、設立母体(大学病院)、泌尿器科医師数(7人以上)、年間前立腺全摘除術件数(11-20件、20件以上)、電子化(なし)、ICU(あり)の6つの要因が使用率と関連していた。クリティカルパス使用施設において、歩行・食事開始までの期間、注射用抗菌薬投与期間、内服抗菌薬投与期間、ドレーン抜去・尿道留置カテーテル抜去までの期間、術後退院までの期間が統計学的には有意に短く設定されていたが、ばらつきは大きかった。多変量回帰分析では、地域や泌尿器科医師数、年間前立腺全摘除術件数が10の周術期管理設定の大半に影響を与えていた。これらの壁を乗り越えて全国的な前立腺全摘除術周術期管理の標準化を図るためには、各施設で独自に開発したクリティカルパスを使用するだけでは難しいと考えられた。
  • 永田 光二郎, 野村 一俊, 田中 富美子
    2009 年 10 巻 2 号 p. 386-390
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     当院の人工膝関節置換術クリティカルパスの退院基準は術後感染がなく、一本杖歩行獲得、在院日数が術後3週間の設定となっているが、自宅退院できず継続リハビリテーションのために転院する患者は少なくない。そこで、転院調整判定基準を設定するため、当院整形外科で人工膝関節置換術の手術を行った78例(男性8例、女性70例) について、退院時の関節可動域と移動能力を自宅退院群と転院群に分けて比較検討した。その結果、関節可動域は転院の要因とはならなかったが、移動能力は転院の要因となった。実用的な一本杖歩行の獲得の可否が転院の要因と考えられ、一本杖歩行訓練の開始時期で転院調整判定基準を設定できると考えられた。
  • -新規顧客と既存顧客の医療機関に対する評価の差から-
    伊藤 朱子, 長瀬 啓介
    2009 年 10 巻 2 号 p. 391-398
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     消費者の医療機関選択に影響する要因を 「技術的要因」、「人的要因」 及び 「アメニティ要因」 に分類し、当該医療機関を経験したことがある消費者 (既存顧客;経験者) と経験したことのない消費者 (新規顧客;未経験者) の各要因に対する評価の差異について、共分散構造分析を含む多変量解析を用いて分析した。
     「技術的要因」、「人的要因」 及び 「アメニティ要因」 の一部への評価は経験者と非経験者で有意な差が見られた(有意水準1%)。一方、「アメニティ要因」 のうち待ち時間については有意な差は見られなかった。医療機関選択に影響を与える要因を見たところ、未経験者では 「技術的要因」 及び 「アメニティ要因」 が強く影響していたのに対し、経験者では 「人的要因」 が強く影響しているという差が見られた。
     消費者が各要因について評価を形成する過程は、今後の研究課題として残された。
     医療機関が地域に対するマーケティング戦略を展開する際、当該医療機関の未経験者である新規顧客と経験者である既存顧客とで、強く伝達しなければならない価値が異なることを意識する必要があると考えられた。
  • 兼児 敏浩, 石橋 美紀, 日比 美由紀
    2009 年 10 巻 2 号 p. 399-403
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     患者ハラスメントを 「医療提供者に対する患者や患者家族による不当な要求や暴言、暴力 (セクシャルハラスメントも含む)」 と定義し、全国16の医療施設に協力を求め、実態調査を行った。116事例について把握できたが、想定よりも事例数が少なかった原因は患者ハラスメントに対する認識不足や収集システムの不備にあると推測された。患者ハラスメントはすべての部署・時間帯に発生しており、40代の男性が加害者となることが多かった。患者ハラスメントはまったくの言いがかりである場合は半分以下で患者の病状や些細な医療上のミスが誘引となる事例などが多く、半分以上が医療特有の原因に起因していると考えられた。被害者は女性看護師をはじめとして多くの職種に渡り、恐怖心や不快感のみならず厭世的な気分になることも多く、早急な対策が必要であると考えられた。
  • 杉原 治美, 多田 敏子, 大岡 裕子, 森川 富昭, 森口 博基
    2009 年 10 巻 2 号 p. 404-409
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     本研究は、2004年4月に開設した IT (Information Technology) を活用したバーチャル看護相談室 「まちの保健室」 の利用状況を分析し、情報提供サービスとしての役割を果たしているかどうかを検証することが目的である。2005年10月~2008年3月までの検索キーワード、アクセス数、利用者地域、時間帯、質問への閲覧等をアクセスログ解析ソフトにより調査した。開設からの4年間に、データベースの蓄積、システム改善、外部リンクによる情報確保など利便性の向上に努めてきた。2007年12月末には、難病、精神、脳血管、小児、歯科疾患、がん・緩和ケア等の相談分析が終了し、合計1,221の質問が登録されている。
     その結果、地域別でみると徳島県が半数を占めていたものの全都道府県からアクセスがあった。また、利用時間は午前11時が最多で、深夜4 時が最少であるが、24時間を通してあった。質問カテゴリーでは病気・健康問題、医療・福祉施設情報、および経済 (お金) と制度の問題の順に多かった。質問の登録数の増加に伴いアクセス数も毎年増加し、年間アクセス数は10万件を超えた。2008年からは「まちの保健室」 検索サイトの1位に定着し、開設当初の目的である 「いつでも誰でもどこでも24時間利用可能な保健・医療・福祉に関する情報提供サービス」としての役割が果たされていることがわかった。
事例報告
  • 高橋 泰, 斎藤 奈々, 野末 睦
    2009 年 10 巻 2 号 p. 410-414
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     医師・看護師・医療技術職で構成されていたクリティカルパス委員会へ、診療情報管理士が加わり運用方法の改善を行った。診療情報管理士が加わった当初は、看護師主体の運用の補助業務をするに止まり、診療情報管理士加入による利点は多くなかった。そこで、診療情報管理士がより主体的に関わる事とし、従来の運用方法、運用状況、臨床結果から運用規定とバリアンス規定の作成を実施した。運用の主な変更点として、クリティカルパス様式及び情報管理を、各診療科管理から全診療科一元管理へ変更した。院内 LAN システム上でクリティカルパスの様式を確認印刷が出来るようにした事で利便性が向上した。又、クリティカルパス使用時に得られた情報は、病歴システム上の情報と統合された。その結果、クリティカルパス使用患者の情報は6種類から51種類に増加した。次に、バリアンス規定を作成した。バリアンス規定作成後はバリアンス報告数が増加し、使用クリティカルパスあたりのバリアンス発生クリティカルパス比率は増加した。又、診療情報管理士により、あるバリアンスに関する問題提起がされ、それに基づいて診療科ではクリティカルパス内の再検討を行った。その結果、そのバリアンスはχ 2 乗検定をもって有意に減少した。このように、診療情報管理士がクリティカルパスの運用に積極的に関わる事で、多職種の職員が共同使用するクリティカルパス運用において改善がなされた。
  • 高橋 潔, 日浦 利恵, 鍵本 由紀
    2009 年 10 巻 2 号 p. 415-419
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     地域連携クリティカルパスは医療連携にクリティカルパスの考え方を取り入れたものと考えている。脳卒中連携の改善と効率化を目的として、二次医療圏全体で運用する脳卒中地域連携クリティカルパスを作成した。高知中央医療圏は人口57万の地方中核都市タイプの医療圏である。作成には行政・医師会が最初から加わり、2008年7月から運用開始され、 計画管理病院5病院、連携病院27病院が参加している。
     脳卒中連携に主眼をおき、連携パターンから4種類のクリティカルパスを作成した。医療内容には踏み込まず、連携の問題と、医療の内容を別々のクリティカルパスで管理する形となった。4種類のクリティカルパスはそれぞれオーバービュークリティカルパス+情報共有用紙の2つから成り立っている。情報共有用紙は急性期、回復期、維持期、かかりつけ医の4つに分かれ、院内クリティカルパスの日めくりに近い形である。連携のパターンが変動しても使えるよう4つに共通している。運用期間は急性期発症から1年間とした。診療報酬の改定にあわせ2年ごとに改定を予定している。 作成から運用初期に当たっての問題点を検討した。
     地域での評価基準の統一やケアの標準化など作成から運用の初期でも得られることは多い。しかし、地域連携クリティカルパスをツールとして地域全体で脳卒中を支えるという観点からは病院間での利用に留まっており、かかりつけ医や在宅サービス部門などとの連携が今後の課題である。
  • 植田 健, 浜野 公明, 佐塚 智和, 宮坂 杏子, 今村 有佑, 深沢 賢, 江越 賢一, 丹内 智美, 高瀬 峰子, 丸岡 正幸
    2009 年 10 巻 2 号 p. 420-425
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     当科では、外来診療の効率化を図るため県内の泌尿器科開業医と泌尿器がんのクリティカルパス(以下、パス)の作成を行い、地域連携を推進することを目指した。連携医の経過観察が容易となるように前立腺特異抗原(PSA)を用いた前立腺生検後の PSA 経過観察パス、前立腺全摘後の経過観察パス、内分泌療法のパスの3種類を開発した。当初3種類のパスで運用を開始したが、現在では前立腺がん関係4種類と膀胱がんに対する2種類のパスの合計6種類運用を行っている。2008年9月末現在224例連携医療機関へ紹介し、2例のバリアンスがみられた。連携医療機関や当科医師へパスに対するアンケートを行ったところ概ね好意的な意見であった。パスの運用開始からまだ1年に過ぎないため、外来業務の効率化までは結びついていないが、引き続き運用を続けていくとともに、さらに参加施設の拡大や新規パスの開発などを行う予定である。
  • 阿部 祝子, 大江 洋一, 西村 治彦
    2009 年 10 巻 2 号 p. 426-431
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     恩賜財団済生会横浜市南部病院では、医療サービスの標準化、チーム医療の推進を目的として2001年からクリティカルパスが導入されている。そこで本研究では、病棟看護師を対象にアンケート調査を実施し、看護師の意識からクリティカルパス導入の効果を把握した。その結果、クリティカルパス導入により各診療科の治療処置及び看護ケアはある程度統一され、全体的に業務効率の向上が確認された。これは導入目的の1つである医療サービスの標準化における効果の現れといえる。しかし、クリティカルパスによっては医療の標準化や患者サービスの向上について肯定的な割合が高くないものもあり、それらの見直しの必要性も見えてきた。また、クリティカルパスの運用において、看護師は、医師の指示の追加変更や脱落時の看護計画を煩雑に感じ、パターン化された業務の継続を求めるという傾向が窺えた。クリティカルパス導入効果としてリスクマネジメント、チーム医療の充実を挙げる回答が低く留まったことと併せ、これらは今後の推進活動の課題といえる。
  • 篠田 純治
    2009 年 10 巻 2 号 p. 432-437
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     豊田地域 (愛知県豊田市) の糖尿病対策として、1次予防から3次予防までシームレスな対応のできる地域一体の医療連携が必要と考えて活動してきた。トヨタ記念病院では紹介外来システムと短期体験入院システムが確立しており、糖尿病の初期指導や見直しの役割を果たしている。地域においては少人数での自由討論形式を中心にした会合を重視して考え方のわかる連携を重ねている。地域のメディカルスタッフが主体に運営する豊田糖尿病スタッフスキルアップセミナーが活動しており、研鑚しながら地域の各職種で共有できるデータベースの検討をしている。2005年からは地域全体の連携を目指して、病院・診療所だけでなく、行政・産業医さらに健保組合も含んだ豊田市糖尿病対策地域連絡会議を行っている。この会議で啓発のためのパンフレットの作成、基本健診データの解析・アンケート調査などを行った。さらに栄養士のいない開業医で栄養指導ができる体制について検討を重ねて、糖尿病だけでなく脂質異常症なども含めた生活習慣病対策栄養サポート体制を構築した。また産業医との連携で早期体験入院を勧めて職域全体のHbA1c低下につながってきている。
     施設や組織の枠を越えた地域の糖尿病対策・疾病管理として、地域全体がひとつの施設のように人材も情報も共有という考えをもって活動している。糖尿病については単純な病診連携では不十分で多面的・包括的な対策が必要である。
  • -当事者同士の面談導入とジェネラルリスクマネジャーの中立的介入の効果-
    林 里都子
    2009 年 10 巻 2 号 p. 438-442
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     患者側の苦情・クレームへの対応のため、2002年4月から、当院独自の1次~3次対応からなるフローチャートを作成し実践した。ここで1次対応、3次対応はジェネラルリスクマネジャー(General Risk Manager、以下GRMと略す)が関与しない従来からの対応部分であり、2次対応が本研究で著者の考案したGRMが関与する新規な対応部分で、その2次対応ではGRMは中立的立場を堅持し、その中の最も対応の難しい最終局面では、患者側と医療従事者側の当事者同士が話し合う場である面談の導入とGRMの中立的立介入を行った。その効果として、1)初めは双方に認識のずれがあったが、面談の過程を通して最終的には両者に歩み寄りがみられ和解へと進んだ。2)GRM の中立的介入については双方からの拒否はなく、GRM は両者の味方的存在と認識された。3 )当事者同士の面談の導入とGRM の中立的介入は、不要な訴訟を抑制するだけでなく、訴訟以上に納得のいく解決を患者側・医療従事者側の双方にもたらすと考えられた。4)2次対応に要した平均日数は33日(最短日数2日、最長日数195日) であった。今回の対応を通して、和解へと至るためには、GRM、患者側、医療従事者側の三者間での信頼関係の形成が最も重要であると考えられた。
  • 川本 俊治, 富永 理子, 大下 美紀恵, 上池 渉
    2009 年 10 巻 2 号 p. 443-448
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     電子カルテシステムと連動した認証システムを導入して、 注射業務と内服業務のヒヤリ・ハット報告の量的・質的変化を検討した。 その結果、 薬剤、 患者、 実施者の三点確認による認証システムを導入した、 注射業務のヒヤリ・ハット報告比率は減少し、 認証システムを導入しなかった内服業務のヒヤリ・ハット比率は増加した。 注射業務のリスクレベルではインシデント割合が有意に増加したが、 内服業務では変化はなかった。 ヒヤリ・ハットの発生場面では両者共に 「指示受け」 場面のエラーが最も減少したが、 これは電子カルテシステム導入が人間の作業をコンピューターに 「代替化」 したことにより、 ヒューマンエラーが減少したと考えられた。 特に認証システムの導入により 「異常検出」 機能が強化され、 与薬業務の安全な実施に貢献した。
紹介
  • -気管チューブ逸脱の防止について-
    深野 久美, 前田 初子, 七井 裕子, 芳賀 克夫
    2009 年 10 巻 2 号 p. 449-452
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     2006年に国立病院機構九州ブロック内で、人工呼吸器装着患者の体位変換時に気管チューブが逸脱し、結果として患者が死亡に至った事故が2件発生した。いずれも体位変換時に、気管チューブが回路から牽引され、逸脱したことが一因と考えられた。これを受けて、国立病院機構九州ブロックでは、人工呼吸器装着患者の管理に関する研修会を開催し、回路からの牽引を避けるために回路を一時外して体位変換を行う手技を推奨した。研修会前では、体位変換を原則として回路を気管チューブから外して行うとした病院は、25病院中5病院であったが、2008年には24病院中21病院と増加した。体位変換手技の横断研究調査では、体位変換総数3,549回のうち73.9%で回路を外して体位変換を行っていた。体位変換の実施者の内訳は、1 回のみ医師が看護師に介助して行っていたが、残りの3,548回は看護職のみで行っていた。また、体位変換について、回路を気管チューブから外して行っている21病院に、実施上の問題点を尋ねたが、全病院とも問題ないと回答した。以上より、回路を気管チューブから外して行う体位変換は看護職のみで安全に行えることが示唆された。
  • 山本 直子, 大谷 眞二
    2009 年 10 巻 2 号 p. 453-456
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/08/26
    ジャーナル フリー
     病院薬剤師が薬物療法に関与し患者ケアによって患者の不利益を回避するプレアボイド活動は薬剤師以外の医療従事者にはあまり認知されていないと考えられる。今回、医師・看護師を対象としたアンケート調査によりその実体を把握し、活動のあり方について検討した。当院の常勤・非常勤医20人および看護師51人に対し調査票を用い、プレアボイドの認知度、重要度、フィードバックの必要性について調査した。プレアボイドについて何も知らないと答えた医師、看護師はそれぞれ88.9%、61.4%であったが、この活動についてすべての医師および9割の看護師が重要と考えていた。これまでプレアボイド活動は病院薬剤師の間でおおむね完結していたと思われるが、多くの医師や看護師がそのフィードバックを望んでいることがわかった。今後、この活動を薬剤師以外の医療関係者に周知していくことが肝要であると思われる。
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