日本医療マネジメント学会雑誌
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原著
インシデントレポート分析から導入した手術関連臨床指標
森本 泰介鈴木 真美平田 敦宏
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2011 年 11 巻 4 号 p. 231-235

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抄録

 京都市立病院の手術関連インシデントレポートで報告された事象の発生率を、手術関連臨床指標として集計した。6大分類・23小項目を報告対象項目としてあらかじめ選定した。2009年4月から12ヶ月間に手術室で行われた4,034手術症例を対象として、この23項目に合致する事象を収集した。56症例で62事象が報告され、予定外の再手術18症例(手術総数に対する発生率:0.45%)、予定手術時間の50%以上延長15例(0.37%)、ガーゼカウントの不一致 4 例(0.10%)、予想量を超えた出血3例(0.07%)、手術器具破損3例(0.07%)などであった。診療科別では外科12例:12/696(1.72%)(診療科別手術数に対する発生率)、看護科11例:11/4,034(0.27%)、整形外科10例:10/442(2.26%)、呼吸器外科10例:10/122(8.20%)、麻酔科5例:5/1,801(0.28%)、耳鼻科5例:5/330(1.52%)、泌尿器科4例:4 /420(0.95%)、循環器内科2例:2/55(3.64%)であった。臨床指標の推移により改善行動の評価が可能になり、他施設データとの比較により医療の透明性が向上し、患者がインフォームドコンセントを受ける際に役立つ。さらには安全意識の向上、 医療の質向上へとつながり、最終的には医療事故防止に貢献すると考えられた。

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