日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
PCI 後の状態により選択し発行する急性心筋梗塞電子化クリティカルパスの試み
近藤 泰三望月 盈宏
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2011 年 11 巻 4 号 p. 236-240

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抄録

 急性心筋梗塞(AMI:Acute Myocardial Infarction)クリティカルパスは、紙運用では入院後2日目までの最高CK(Creatine Kinase)値(maxCK)により重症度を分けることが多い。しかし、緊急経皮経管冠動脈形成術(PCI:Percutaneous Coronary Intervention)が常識的加療になった今では AMI 症例の重症度は緊急PCI後の状態で判定することが望ましいと思われる。救急患者のため、夜間に日をまたいでPCIを行うことも多く、入院日から開始する電子化クリティカルパスで汎用性を持たせることは困難である。今回われわれは、緊急入院時にクリティカルパスとは関係なく個別に入院指示、緊急PCI指示をオーダし、PCI終了時に重症、軽症と午前終了(午前0時〜午前12時終了)、午後終了(午後0時〜午後12時終了)の別で4種のクリティカルパスを発行することとした。重症は、①血行動態不安定のためカテコラミン等が必要、②肺うっ血に対してハンプ等の使用が必要、③IABP(Intraaortic Balloon Pumping)、ペーシング、レスピレータ等のサポートが必要、④冠動脈に明らかな血栓を残す、⑤TIMI(Thrombolysis in Myocardial Infarction)2以下で終了と定義した。午前終了と午後終了に分けた理由は、緊急PCI終了時間によりPCI終了後に必要な時間毎の採血指示が異なること、またベッド上安静からギャッチアップ可になるタイミング等安静度の進み方も異なるためである。各クリティカルパス開始時にCK等の定期採血時間をオプション指示より選択することとしている。バリアンスの多い疾患であるため、日程の延長が多く発生すること、クリティカルパス外指示も多いため、全てを表示するクリティカルパス進行表にて把握することが重要となっている。

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