2011 年 12 巻 3 号 p. 134-139
外科医師の不足の問題は近年、小児科・産科医師不足と並んで大きな関心を集めている。しかし、その現状について数量的・包括的に明らかにした研究はそれほど多くない。本研究は官庁統計を用いて、現在外科に起きている医師不足の問題を、需要の将来推計を含めて検討することを目的とする。現在、外科医師は、実数として減少しており、特に男性医師の減少が大きい。一方の需要は高齢化に伴い増大している。しかし、需要の増大は2020年前後にはピークアウトすると推計される。外科医師不足の解決のためには、養成に長時間を要することを考慮すると、医師総量としての増加を図るよりも、即効性のある労働環境の改善、医療システムの再構築が有効であると考えられる。