日本医療マネジメント学会雑誌
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MRSA敗血症・肺炎の治療マネジメントに関する検討
抗MRSA補助薬の有効性に関する文献的考察
入口 慎史今井 徹折井 孝男
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2013 年 13 巻 4 号 p. 208-214

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抄録

 我が国ではMethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)感染症が院内感染で大きな問題となっている。MRSA感染症においては難治症例が多数存在し、抗MRSA薬に加え、リファンピシン(RFP)やトリメトプリム・スルファメトキサゾール(ST合剤)が併用される。そこで、PubMedおよび医学中央雑誌(医中誌)にて文献調査を行い、敗血症・肺炎に対するRFP、ST合剤の有効性について検討した。敗血症に対するRFPの有効性についてはランダム化比較試験(RCT)が1件、症例対象研究が1件あった。いずれの試験においても、有効率に統計学的な有意差が認められなかったが、多くの症例報告では著効が報告されていた。また、肺炎に対するRFPの有効性についてはRCTが1件あり、臨床的著効率はRFP併用群とVCM単独群では併用群の方が有意に優れていた。一方、敗血症、肺炎に対するST合剤の有効性を示す報告は少なく、エビデンスは限られていた。以上の結果より、敗血症、肺炎へのRFPの併用について、難治症例の治療の選択肢の1つとなることが示唆された。

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© 2013 特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
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