2015 年 16 巻 3 号 p. 152-157
国立病院機構九州医療センターでは2013年7月に入院前の患者の不安を軽減し、入院に関する業務の一元化を図るため、入院支援センターを開設した。入院支援センターでは対応した全患者へ多職種が協働して支援を行っており、管理栄養士は医師が「栄養介入の必要あり」と判断した患者や有意な体重減少がみられる患者に対し、栄養状態の改善を目的に栄養食事指導を行うほか、入院初日から適切な食事を提供すべく食種の提案・対応などを行っている。入院支援センター開設当初から2014年1月までに対応した患者952名のうち、160名(17%)に栄養食事指導を行い、うち115名に糖尿病、高血圧症を認めた。このうち入院までに10日以上の猶予のあった肥満(BMI≧25)患者39名において、入院時の体重は減少傾向であった。入院時の食事については287名(30%)に特別食の提案を行い、52名(5.5%)に入院時からのアレルギー除去食の対応を行った。その結果、栄養食事指導件数は前年度同時期の1.5倍となり、特別食加算率は3.2%増加した。入院支援センターにおける管理栄養士の介入は患者利益だけでなく、食種変更に関する業務の効率化や算定件数増加に繋がることが示された。