日本医療マネジメント学会雑誌
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入院後発症した誤嚥性肺炎の追加的医療費と在院日数:DPCデータを用いた観察研究
小原 仁
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2016 年 17 巻 3 号 p. 123-128

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抄録

 入院後に発症する誤嚥性肺炎は、追加的な医療資源量の増加をもたらす。しかし、こうした医療資源量を定量的に推定した報告は少なく、情報が不足している状況にある。そこで本研究では、入院後に発症した誤嚥性肺炎による追加的医療資源量を定量的に明らかにすることを目的とした。

 解析対象となるデータは、調査対象施設から直接収集したDPCデータを用いた。入院後に誤嚥性肺炎を発症した症例と病名、術式行為、患者属性が一致する対照群をマッチングさせ、このペア間の差の平均から在院日数と入院医療費の追加的医療資源量を推定した。

 推定の結果、入院後に発症した誤嚥性肺炎による在院日数の増加(95%信頼区間)は17.2日(11.6日〜22.8日)であった。また入院医療費(95%信頼区間)は61.9万円(39.7万円〜84.2万円)の増加が認められた。

 本研究によって、入院後に発症した誤嚥性肺炎の追加的医療資源量が定量的に明らかとなった。本研究成果は、入院後における誤嚥性肺炎の予防活動を支える医療マネジメントの基礎資料として、広く活用できると期待された。

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