日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
手術室増設のための省スペース化に向けた器械セットの見直しと在庫の削減の取り組み
青木 美寿々長岡 英貴北野 秀行野川 浩代鎌田 修博
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2019 年 20 巻 2 号 p. 84-87

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抄録

 一般財団法人神奈川県警友会けいゆう病院は410床の急性期病院として、年間4,850件の手術を行っている。2015年に、増加する緊急手術に対応するため手術室1室の増設が計画された。それに伴い、クリーンサプライ室の縮小が余儀なくされたため、省スペースに向けて医療材料、手術器械セット、手術で使用する鋼製小物の削減と整備の取り組みを行った。まず現場で使用している手術器械セットと鋼製小物の数量を調査集計した。術式ごとに使用した鋼製小物の種類と数量を抽出し、そのデータを用いて手術器械セットの中身を再検討し、術式ごとに無駄のない新規器械セットとし作成した。いくつかの手術で共通に使用する器械セットを基本セットとし、各術式別に使用頻度の高い鋼製小物は、基本セットとは別に術式別セットとして別添した。術式別セットは、従来は手洗い看護師が器械準備時に各々の判断で取りそろえていたが、経験に負う部分が多く、看護師の力量により差が生じるため、新人看護師には身体的、精神的負担となっていた。術式別に取り決められた鋼製小物をセット化したことにより、器械準備・展開の時間短縮を図ることができ、身体的・精神的負担も軽減された。この取り組みにより未使用にもかかわらず滅菌が繰り返される、あるいは滅菌後に使用されずに長期間保管される未使用在庫と医師あるいは看護師にとって万一に備えてあれば安心な在庫を一掃させた。その結果、鋼製小物の品目も48.8%削減でき、省スペース化が達成できた。今後も標準化を継続するためには定期的な見直しが必要である。

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