2020 年 21 巻 2 号 p. 101-105
薬剤耐性菌対策の一環として、大規模急性期病院では抗菌薬適正使用支援プログラム(antimicrobial stewardship program:ASP)が定着しつつあるが、地域包括ケアシステムの一翼を担う中小規模病院では人材確保等の問題があり、ASPにどのような効果があるかは不明である。93床の小規模ケアミックス病院である水海道さくら病院では2018年4月よりASPを開始したため、その効果を検証した。ASPの内容は、①指定抗菌薬の届出制、②チームによる指定抗菌薬使用患者のラウンド(週1回)とした。その結果、ASP開始前6ヶ月間と開始後15ヶ月間の月間培養検体数中央値(四分位範囲)はそれぞれ77.5件(70.3〜84.0)、127.0件(117.0〜142.0)であり、有意な増加を認めた(p<0.001)。両期間におけるメロペネムの抗菌薬使用密度中央値(四分位範囲)は、31.7(28.8〜33.7)から24.1(19.1〜30.1)へと減少の傾向を示した(p=0.173)。また、両期間のカルバペネム耐性緑膿菌分離率中央値(四分位範囲)は、培養検体数の増加に伴い0.0%(0.0〜0.0%)から3.6%(1.4〜7.0%)へ増加した(p=0.007)が、ASP開始後以降は徐々に減少した。今回の結果より、小規模病院でもASPが有効である可能性が示唆されたが、高い耐性菌分離率、一部抗菌薬の使用量増加等、課題も明らかとなり、さらなる効果の検証を要する。