2020 年 21 巻 2 号 p. 97-100
中心静脈栄養施行時、脂肪乳剤投与がカテーテル関連血流感染のリスクとなる報告があり、その発症を恐れて脂肪乳剤の投与をためらう場合がある。そこで中心静脈栄養を実施した100例(うちカテーテル関連血流感染15例)を対象に脂肪乳剤の投与が感染の危険因子となりうるか、他の因子とともに検討した。結果、カテーテル関連血流感染は、脂肪乳剤投与例に有意に多くみられていた(感染あり群66.7%、感染なし群37.6%、p=0.036)。また、中心静脈栄養開始時の血清アルブミン値(感染あり群 中央値1.9㎎/dl、感染なし群 中央値2.5㎎/dl、p=0.001)、糖尿病の有無(感染あり群 53.3%、感染なし群 23.5%、p=0.018)にも有意差がみられた。一方、カテーテル留置箇所、内腔数、留置期間では有意差はみられなかった。
カテーテル関連血流感染発症の要因として、脂肪乳剤投与の有無に加え、低アルブミン血症、糖尿病の有無が関与している可能性が示唆され、中心静脈栄養を必要とする前段階での栄養管理の必要性を示唆した。