日本医療マネジメント学会雑誌
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総説
医師の労働量が医療安全へ及ぼす影響
システマティックレビュー
藤田 茂平尾 智広北澤 健文飯田 修平永井 庸次嶋森 好子鮎澤 純子瀬戸 加奈子畠山 洋輔松本 邦愛長谷川 友紀
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2020 年 21 巻 2 号 p. 58-65

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抄録

 医療従事者の働き方改革は、医療従事者の健康や幸福の向上に寄与するだけでなく、医療安全に関するアウトカムの改善にも寄与すると推測される。本研究は、医師の労働量と医療安全に関するアウトカムとの関係を明らかにすることを目的とした。

 1964年1月から2018年8月までに出版された医中誌Webの文献と、2008年8月から2018年8月までに出版されたPubMedの文献を対象に、システマティックレビューを行った。

 その結果、医師の労働量に関する文献を34件得た。米国のレジデントの労働時間制限に関する内容が多く、質の高い研究デザインの研究は少なかった。医師の労働量の多さが患者の死亡率や合併症発生率に負の影響を与えるという明確なエビデンスは得られなかった。一方で、医師の労働量が多いと、特定の種類のエラーが増加する可能性が示唆された。

 医師の労働量と医療安全との関係を明らかにするには、質の高い研究デザインの研究が必要であると考えられた。

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