2020 年 21 巻 3 号 p. 146-149
高知県の南海トラフ地震に対する地域防災の取り組みは年々進んでいる。しかし年齢的に多くの高齢者は防災に対していわゆる「あきらめ」 の境地であり、積極的な取り組みに参加しない。
そこで高齢者の生活に密着したサービスを提供している介護事業所が、主に高齢者を対象に、あきらめない地道な防災活動や対策を働きかけることが重要であると考え、介護事業所だからこそできる高齢者への防災の取り組みを実施した。すなわち地域の高齢者住民を中心に共同訓練を実施し、地域の防災に関するセミナーにて互いに知識を深めた。一方、デイサービスとグループホームの職員も、地域のイベント事業に積極的に参加し、常に顔の見える関係を築いた。また、2015年から始めた地域交流スペースを使い、無料で具体的な「防災教室」を開き、直接的に防災を呼びかける活動の場所として、地域の集まりや高齢者宅や介護事業所の利用者宅に出向いて、防災に関する講義を行った。その結果として信頼関係が成立し、防災に対する認識に変化が見られるようになり、少しずつ災害への備えに取り組む高齢者が増えてきた。また介護事業所の職員の防災意識も確実に向上した。これらの防災対策は、結果として明らかに安心して暮らせる町づくりの地域包括ケアシステムの構築に繋がっていた。