医療マネジメント学会雑誌
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リスクマネジメントと医療構造改革
秋山 剛
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2002 年 2 巻 3 号 p. 273-277

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抄録
現在の日本では、医師以外の職種に権限を付与する体制が整備されていないこと、医療に関する情報開示が進んでいないことが、リスクマネジメント上本質的な問題であると考えられる。 医療事故を防ぐためには、事故に至らないインシデントのレポートを励行させ、インシデントの発生状況を分析し、対応策を検討することが重要である。 また、リスクマネジメントの実効をあげるためには、現場でどうすればよいかという具体的施策を示す必要がある。 医療従事者のミスは、他職種のスタッフによって発見されることが多い。 他職種スタッフによるチェックを有効に機能させるには、各職種の業務をマニュアル化し、病院内での申し合わせを整えることが重要である。 また、「レポートでは細かいことを書ききれない」「多職種間のシステムの問題など当事者が意識していない要因が重要である」「事例分析は相互監査として有効に機能する」などの理由から、ある程度以上のレベルのインシデントについて、現場の状況を確認する事例分析が重要であると考えられる。
「リスクマネジメントが、現場の作業改善やリスク回避にどう役立つか」を明確に示すことができれば。 リスクマネジメントを「てこ」に、それぞれの病院で医療の構造改革を進めることができ、これは経済的効率を追求する経営理念とも合致するはずである。
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