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松島 照彦, 高嶋 シノブ
2002 年2 巻3 号 p.
263-264
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
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川村 治子
2002 年2 巻3 号 p.
265-269
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
多数のヒヤリ・ハット事例の分析は、エラーや事故発生の共通要因、重要要因を理解するために有用である。 そこで、看護婦の注射と転倒・転落に関するヒヤリ・ハット事例、各々2,800事例、1,500事例を収集し、前者はエラー内容と業務プロセスにおける発生要因で、また、後者は患者の易転倒性と発生時の行動・状況で分析した。その結果、注射エラーの主たる発生要因として8要因をあげ、組織として対応について考察した。 また、転倒・転落の発生状況8分類から、急性期病院における転倒・転落の発生構造を明らかにした。 特にその中で、患者の自発的・自力行動における転倒転落を3群に分け、患者と行動・状況双方から発生要因を整理し、具体的対策について考察した。
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花井 恵子
2002 年2 巻3 号 p.
270-272
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
北里大学病院は、平成11年3月まではリスクの事に関しては医療指導検討委員会という委員会で論議されてきた。 しかしながら、平成11年4月よりリスクマネジメントについて論議する委員会として分化させた。 また、独自に看護部リスクマネジメント委員会を発足させ、様々な活動を行い看護職員のリスクに対する意識の向上がみられている。
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秋山 剛
2002 年2 巻3 号 p.
273-277
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
現在の日本では、医師以外の職種に権限を付与する体制が整備されていないこと、医療に関する情報開示が進んでいないことが、リスクマネジメント上本質的な問題であると考えられる。 医療事故を防ぐためには、事故に至らないインシデントのレポートを励行させ、インシデントの発生状況を分析し、対応策を検討することが重要である。 また、リスクマネジメントの実効をあげるためには、現場でどうすればよいかという具体的施策を示す必要がある。 医療従事者のミスは、他職種のスタッフによって発見されることが多い。 他職種スタッフによるチェックを有効に機能させるには、各職種の業務をマニュアル化し、病院内での申し合わせを整えることが重要である。 また、「レポートでは細かいことを書ききれない」「多職種間のシステムの問題など当事者が意識していない要因が重要である」「事例分析は相互監査として有効に機能する」などの理由から、ある程度以上のレベルのインシデントについて、現場の状況を確認する事例分析が重要であると考えられる。
「リスクマネジメントが、現場の作業改善やリスク回避にどう役立つか」を明確に示すことができれば。 リスクマネジメントを「てこ」に、それぞれの病院で医療の構造改革を進めることができ、これは経済的効率を追求する経営理念とも合致するはずである。
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谷田 一久
2002 年2 巻3 号 p.
278
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
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小西 敏郎, 市川 幾恵
2002 年2 巻3 号 p.
279
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
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山中 英治
2002 年2 巻3 号 p.
280-282
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
CPはできるだけエビデンスに基づいて作成すべきである。作成には学会ガイドラインなどを参考にする。根拠の無い医療は無駄とムラが多く、医療の質を低下させる。CPは標準的で良質の医療を提供する、すなわち医療の質を保証する。
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在院日数短縮のインパクト
満武 巨裕, 西村 由美子, 安田 信彦, 高橋 隆
2002 年2 巻3 号 p.
283-288
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
本研究は、病院情報システムに入力/保存されているデータを活用した一連の実証研究の一環で、クリティカルパスの導入が病院経営におよぼす経済効果についての分析である。具体的には手術をともなう入院を必要とする複数の症例をとりあげ、病院が行っている治療の収支の実態を疾患別/患者別に把握するとともに、これらの症例の治療にクリティカルパスを導入したと仮定した場合の仮想的な収支を試算した。
その結果、手術をともなう入院では、手術の収支はおおむね黒字であるが、入院加療については基本的には赤字で、つまり、入院が長引けば長引くだけ病院の収益率は低下することが明らかになり、高額の差額ベッドを別にすれば、長期入院は病院にとって得策ではないことが実証された。クリティカルパスを導入すると仮定して行った試算によれば、クリティカルパスの導入によって入院期間が短縮するので、患者一人あたり (入院1ケースあたり) の病院の総収入は減少するが、一方で、収益率はかなり向上することがあきらかとなった。
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野末 睦
2002 年2 巻3 号 p.
289-292
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
本稿では、すでに他誌に発表済みの、パス施行例での原価計算の実際とそれをもちいた損益シミュレーションについて概説した後に、その結果とDRG/PPS施行との比較、および、パスをさらに細分化して各医療行為ごとに原価を計算して、各医療行為原価の積算によってパス別、疾患別のコストを類推しようとする手法 (Activity Based Costing法; ABC法) のパスへの適応、およびパスをもちいた保険請求の自動化について概説した。その結果、コスト管理においてパスは非常に有効であり、かつこれからは必須のものであると考えられた。
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依田 安代
2002 年2 巻3 号 p.
293-294
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
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武藤 正樹, 大岡 裕子
2002 年2 巻3 号 p.
295
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
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大学病院の立場から
田城 孝雄
2002 年2 巻3 号 p.
296-303
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
大学病院は、難病・重症の患者が多く、診療圏が広いという特徴を持っている。高度先進医療の開発と提供という社会的使命を持っている為患者は完治して退院するより、障害を抱えたまま退院せざるを得ない場合が多い。また、神経難病、膠原病、慢性心不全、慢性呼吸不全のように在宅医療の必要な患者も多い。救命救急医療の進歩により、脳血管障害の救命後、長期間のリハビリテーションの必要な患者が多く、在宅医療への移行が困難な事例が多い。東京大学附属病院では、中央診療部門に医療社会福祉部を設置して、専任の退院支援チームが、院内各診療科・部門および地域の関係諸機関・施設との連絡・調整し、患者が適切なケアを適切な場で受けられるように、退院支援・医療連携・在宅医療の推進を行ってきた。退院支援チームは、在宅医療コーディネーター (看護婦長)、医療ソーシャルワーカー (Medical Social Worker: MSW)、専任医師の3名からなっている。訪問看護ステーション、かかりつけ医、ケアマネジャー等とのコーディネーションを専門に行う専任の看護婦長 (在宅医療コーディネーター) を、当部に置くことにより、在宅医療に移行する症例が飛躍的に増加し、在宅医療への移行が推進された。以前であれば、入院治療を継続していた症例に対し、コーディネーションの経験を重ねた専任の看護婦長が、良く説明する事により退院に伴う不安を取り除き、在宅医療の推進した。
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金井 昌子, 藪崎 里枝, 武藤 正樹
2002 年2 巻3 号 p.
304-306
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
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県立病院の看護師の地域連携への関心
二村 良子, 永池 京子, 佐甲 隆, 臼井 徳子, 石村 由利子, 北島 謙吾, 藤本 幸三, 山路 恭子, 稲葉 智子, 永井 とし子, ...
2002 年2 巻3 号 p.
307-311
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
三重県内4つの県立病院において、看護の立場から地域医療連携を考えるにあたり、連携実践事例を収集し、独自に開発した「連携フォーマット」を用いて連携を行うにあたっての問題点・課題を抽出した。さらに、看護師に対して質問紙法調査を実施し、地域連携に対する看護師の現状を把握した。それらの結果より、看護における地域連携とはどのようなことであるかを明らかにすることを目的とする。「連携フォーマット」による事例分析結果は、診療圏に存在する病院の状況・実態について知らない、患者・家族への病院の機能・役割についての説明不足、入院治療における最終目標が不明確、医師、看護師、患者・家族とのコミュニケーション不足、連携についてフィードバックがなされていないなどが抽出された。質問紙法調査の結果は、地域連携という言葉を聞いたことがあり、退院後の患者の状態等に関心があるのは各病院約90%代であったが、実際に患者にその後の様子を尋ねたことがあるのは約43~76%であった。また、退院後に必要な社会資源を患者に紹介する機会あったとする回答割合は約34~55%であり、実際に紹介したことがあると回答した割合は、約37~56%であった。自由記述回答では、地域連携実施における支障となることは、連携システムの不備、情報交換、情報不足などが出ていた。これを考慮したシステム構築が必要である。
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鈴木 元子
2002 年2 巻3 号 p.
312-313
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
病院経営や機能分化の推進により、地域医療機関との連携が重要になってきた。今回、その連携の窓口として開室した「継続診療・看護相談室」の活動を報告する。
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野村 一俊
2002 年2 巻3 号 p.
314-319
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
医療制度の変化に伴う病院機能の分化と高齢患者の増加による医療内容の多様化により、一つの病院で提供できる医療サービスには限界が生じてきており、医療連携の重要性がクローズアップされてきている。しかし、このような医療環境の変化は患者の立場からは、まだまだ十分に理解されているとは言い難い。このような中で医療者側の立場だけで連携医療が進められると種々問題が生じてくる。これらの解決のためには医療を透明化し医療者と患者および家族との情報の共有が必要である。
クリティカルパスはその導入により、根拠に基づく医療の実施、業務の効率化、チーム医療の向上、インフォームドコンセントの充実、在院日数の短縮、コストの削減の効果が得られ、入院における良質な医療と効率的な医療の両立に有効であることが実証されてきている。これらの効果は、医療内容の透明化と情報の共有の結果と考えることが出来、このコンセプトを医療連携に応用できれば問題解決の一助となると考えられる。
このような観点から、我々が関連施設と共に開発を進あてきたのが医療連携用クリティカルパスである。これらの患者用クリティカルパスでは、退院後の全治療過程終了後にアウトカムを置き、その中のプロセスアウトカムとして転院時のアウトカムを患者・家族に理解してもらえるよう工夫がなされている。また医療者用クリティカルパスにおいても、医療内容の透明化と連携施設間の予後の見解の共有化の工夫がなされている。
大腿骨頚部骨折の医療連携用クリティカルパスを例にその実際を紹介した。
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勝尾 信一, 吹矢 三恵子
2002 年2 巻3 号 p.
320-327
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/06/07
ジャーナル
フリー
腰椎変性疾患に対する治療方針は医師によって異なることがある。そこで過去のデータおよび文献を参考に治療方針を1本化し図式化したアルゴリズムを作成した。アルゴリズムは脊髄造影から始まり、手術あるいは神経根造影・ブロックに進み、ブロック後は効果判定を行い、その後の方針を順次選択していくというようになっている。そしてアルゴリズムの中の脊髄造影や腰椎神経根造影・ブロック、外泊といったそれぞれの項目に対応する8種類の医療者用パス ((1) 入院日 (2) 腰椎ミエログラフィー (3) 腰椎神経根造影・ブロック (4) 腰椎椎間板造影・ブロック (5) 腰椎椎間関節ブロック (6) ブロック後 (7) 退院 (8) 手術前) を作成し、それらを順次繋ぎ合わせて使用することにした。従って患者の病態にあわせたオーダーメイドのパスになる。それに加えてアセスメントツール・患者様用パスを作成し、腰痛・坐骨神経痛治療アルゴリズムパスと称した。アルゴリズムパスの考え方を導入すれば、パスの適応疾患が拡大できる。
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三宅 薫, 遠度 美沙, 今井 麻紀子, 伊藤 真寿実, 岩井 智子, 伊藤 育子
2002 年2 巻3 号 p.
328-332
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
当科における腹腔鏡下胆嚢摘出術のパス使用前後での成果医療 (臨床結果、財務結果、在院日数、顧客満足) から見た評価を行った。臨床結果はパス使用群に創感染が1名あり、臍下部の感染であった事から医療者側の要因として術前の不十分な臍処置が考えられるた。在院日数に変化はなく、これは、創感染による在院日数の延長と、退院日に幅を持たせた為、抜糸前の退院に不安、戸惑いを抱く患者がいた事が要因としてあがる。術前の不要な日数があった事からも、退院日の設定と手術前の日数の短縮が必要である。財務結果は総医療費でた。5%のコスト削減、1日当りの医療費では、4%のコスト上昇があり、パス作成時に点滴や検査の内容を統一した事でコスト低下が得られた。顧客満足は、アンケート結果から、5段階評価は平均4.0以上で、回復過程や目標の理解、闘病意欲や治療への参加意識が高まった。
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佐々木 郁子, 新美 一美, 白石 美絵, 依田 安代, 壱岐 聖子, 臼杵 憲祐, 浦部 晶夫, 朝倉 隆, 佐藤 潔史, 奥井 靖子
2002 年2 巻3 号 p.
333-336
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
アウトカムマネジメントをするための1つのツールであるクリティカルパス (以下CPと略: 標準化された患者ケア計画) が目標とするのは、アウトカム (患者の治療結果) の改善である。日本におけるCPは第一段階の作成がほぼ達成され、第2段階のバリアンス分析をする段階に入っているといわれている。
当院でもこれまで、バリアンス分析を実施しチームでその内容を検討してきたが、検査, 処置などの追加や削除、日程の変更が主な改訂事項であった。しかしながら, バリアンス分析を実施することで、看護が重点的に関わる患者指導、処置については、医療の急速な進歩に伴わず慣習的に実施してきた事が多く、その内容を検討し根拠を明確にする必要性が出てきていると考えられる。そこで, 今回当病棟で作成した急性前骨髄球性白血病強化療法CPにおいて、きわめて重要である患者の感染を最小限に押さえる為の補助療法および処置について、米国疾病管理センターガイドライン・幹細胞移植ガイドライン等を参考に6項目について改め, 標準化した。その結果は, アン・ワジナー氏の提唱するCPの評価である「明瞭さ」、「簡潔さ」、「補完性」、「協働性」、「記録性」、「適正さ」の「適正さ」を反映する事になり, アウトカムの改善のためには重要な項目であると考える。
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松本 美里, 畠中 幸, 中山 貴美子, 大野 智和, 隈部 孝子, 竹山 由子
2002 年2 巻3 号 p.
337-341
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
国立熊本病院循環器病棟では、平成11年10月より心筋梗塞のクリティカルパス (以下パスと略す) を作成し、使用してきたが、パスが1つの形式しかなく、バリアンスが生じやすい、欄が狭くて書きづらい、急性期の記録とパスの記録が二重になり書きづらい、などの問題点が生じてきた。
そこで、医師を含めた意識の統一と、パス様式の改訂を行うこととした。
入院当日と1日目の2日間は、重症記録とパスを併用し、1枚にまとめた。
次に、重症度に応じて3パターンに分けることにし、病状によって選択できるようにした。2日目以降はパスに看護記録を含み、チェックや数値記入で済むようにした。また、患者指導の経過や状況がわかりやすいように変更した。
心筋梗塞のパス作成・改訂の経過が、当病棟において、医師・看護婦の意識の統一も図ることができ、看護の質の向上にもつなげることができた。
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多幾山 渉, 平林 直樹, 佐藤 幸雄, 佐々木 喜代子, 中野 真寿美, 亀田 彰
2002 年2 巻3 号 p.
342-346
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
[目的] 地域医療の中心的役割を担っている総合病院におけるクリティカルパス (以下、CPと省略) 導入の効果を、消化器外科領域に関して検討した。 [対象と方法] CP導入前後約1年間の胃癌幽門側胃切除例120例 (CP前81例、CP後39例) と、結腸癌開腹下結腸切除例62例 (CP前43例、CP後19例) に関し、入院日数、術後入院日数、術後経過、手術合併症、入院中の保険点数等を比較した。また、同時期に入院手術を受けた患者を対象に、CPに関するアンケート調査を実施した。 [結果] 幽門側胃切除ではCP導入前後の入院日数の平均値は34.9および28.6、術後入院日数平均値は22.9および17.8でそれぞれ有意にCP導入後に短縮していた。一方、結腸癌ではCP導入前後の入院日数の平均値は31.0および27.3、術後入院日数平均値は22.0および19.9でCP導入後に短縮傾向が見られたが有意差はなかった。術後合併症発生例においても胃および結腸癌ともにCP導入後に術後入院日数の短縮傾向が見られた。アンケート調査は78症例 (男性32、女性46) に行われ、その内43人がCPを使用していた。CP使用の有無と病気や診療内容に対する理解度には両群間に有意差は無かった。CP使用例に対する調査では、大部分の患者においてCPは入院生活への安心感、闘病意欲、治療への参加意識などに好影響を与えていることが認められた。 [まとめ] CP導入後未だ経過期間が短いが、医療の効率化や患者サービスの向上に対する有用性が認められた。
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河島 京子, 矢野 美由紀, 福冨 康宰, 松本 武士, 豊田 麻理子, 吉岡 明子, 高橋 毅, 池井 聰
2002 年2 巻3 号 p.
347-350
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
救急医療現場には、様々な疾病の患者が訪れ入院となる。煩雑な中でより円滑な入院を図るため、軽症患者の中で入院治療を要する患者を見逃さないことを目的に経過観察入院のクリティカルパス (以下パス) を作成使用した。結果、3日間の経過観察入院中パスが変更となり治療が必要となった事例が30%あり、経過観察入院の有用性が確かめられた。また、このパスは単に経過観察入院パスとしてのみならず、確定診断後のパスに変更するまでの継続パスとしても活用できることが示唆された。
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藤原 道隆, 笠井 保志, 池戸 初枝, 中川 三千代, 中尾 昭公
2002 年2 巻3 号 p.
351-354
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
目的: 医療の標準化やチーム医療の推進、コスト管理を目的に多くの施設でクリティカル-パス (クリニカル-パスclinical pathway: CP) が導入されている。我々の施設で現在胃癌に対して行う手術で最も多い術式は鏡視下幽門側胃切除術であるが、この手術は、手術コストが高いという欠点があるのに対し、術後の回復が早いという利点がある。したがって、回復の早さのメリットを効率的管理で生かし、手術コストの差を吸収できるのではないかと期待される。症例数の多い鏡視下幽門側切除 (LDG) 用のCPが周術期管理にもたらした影響について検討した。
症例、方法: CP導入前と導入後の腹腔鏡下幽門側胃切除術症例について、手術侵襲、経口摂取、離床、入院期間、総入院費用を比較検討した。
結果: 手術侵襲に明らかな差が無かったが、食事開始は有意に早くなり、術後入院日数が短縮し、総入院費用が減少した。入院期間に影響したバリアンスは、44.0%と高率に発生した。
考察: 鏡視下胃切除術は、開腹手術とくらべ、時間とコストを圧縮した管理が可能で、CPを導入するメリットが大きい。バリアンス発生率の高さは、消化管を切除吻合する手術を稠密な日程で管理する困難さを感じさせたが、CP導入の目的を考慮するとやむを得ない面がある。結論鏡視下手術のような手術コストは高いが回復の早い手術に関しては、効率的な術後管理をCPで誘導することにより、その利点が充分発揮される。
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梅北 信孝, 田中 荘一, 真栄城 剛, 宮本 幸雄, 阿部 秀樹, 井上 暁, 松尾 聰, 北村 正次
2002 年2 巻3 号 p.
355-358
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
我々は腹腔鏡下胆摘術において、クリティカルパスによる短期入院を施行し、患者の意識調査をアンケートで行った。パスの概要は術前日に入院。術後3日目までに退院とした。平均術後在院日数は2.9日であった。退院時には51%が不安をもっていたが、外来予約日まで87%の症例が問題なく過ごせたと答えた。退院後55%が3日目までに仕事に復帰していた。術後入院日数についてはよかったとするものが61%と多かったが、さらに数日の入院希望したものが37%あり、日帰りを希望したものは2%にすぎなかった。2-3日の術後入院でほぼ満足がえられていた。入院費用も安かった。しかし、現在の保険内ではさらに数日の入院を希望する患者も多かった。
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検体検査を中心に
笠井 久豊, 小阪 幸保, 林 弘
2002 年2 巻3 号 p.
359-362
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
クリティカル・パス (以下CP) における臨床検査課の役割につき報告する。当院は1999年4月にCPが導入され、約2年半になる。CP導入と同時にクリティカル・パス委員会が設置され、月1回の委員会の出席を余儀なくされた。臨床検査課の役割は本委員会を通じ、Evidence-based medicine (以下EBM: 根拠に基づいた医療) に基づいた検査項目セットの設定であり、なお経済性を加味したものでなければならないと考えた。そこで一度作成され軌道にのっているCPを見直し、過度の検査項目と検査依頼回数を削減することにした。そうすることにより1年間で約33万円の試薬コストを下げることができた。
また委員会への出席はチーム医療をも促進させた。看護部から検査依頼漏れをなくしたいとの要望により、疾患別の検査セットを作成した。これは検査課が前日に疾患別検査セットに必要な採血管を準備することである。今後他の疾患へ新たな検査セットの働きがけを心がけたい。
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山岸 まなほ, 菅田 勝也, 武村 雪絵
2002 年2 巻3 号 p.
363-369
発行日: 2002/02/01
公開日: 2011/03/14
ジャーナル
フリー
継続的に看護サービスの質を評価するため、有害事象の発生件数を把握する方法について、正確さとコストの面から検討した。東京都区内の中規模病院を対象とし、平成12年7月から11月にかけて、与薬ミス、転倒・転落、チューブ類の予定外抜去、褥創、皮膚障害、身体的抑制、院内感染の発生件数について、インシデントレポート、ログ、チェックリスト、看護婦聴取、与薬ミスの質問紙調査、温度表参照、尿白血球検査、患者観察聴取、診療録等の参照によって調査した。各方法で把握した有害事象発生件数とデータ収集に要した時間を比較した結果、インシデントレポート、チェックリスト、看護婦聴取、温度表参照、尿白血球検査、与薬ミスの質問紙調査を行うことによって、簡便にほぼ正確な発生件数を把握できることが明らかとなった。しかし、質指標として用いるのに適切な発生率の計算方法や期間を明らかにするには、より長期のデータを多施設で収集する必要がある。
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