抄録
三重県内4つの県立病院において、看護の立場から地域医療連携を考えるにあたり、連携実践事例を収集し、独自に開発した「連携フォーマット」を用いて連携を行うにあたっての問題点・課題を抽出した。さらに、看護師に対して質問紙法調査を実施し、地域連携に対する看護師の現状を把握した。それらの結果より、看護における地域連携とはどのようなことであるかを明らかにすることを目的とする。「連携フォーマット」による事例分析結果は、診療圏に存在する病院の状況・実態について知らない、患者・家族への病院の機能・役割についての説明不足、入院治療における最終目標が不明確、医師、看護師、患者・家族とのコミュニケーション不足、連携についてフィードバックがなされていないなどが抽出された。質問紙法調査の結果は、地域連携という言葉を聞いたことがあり、退院後の患者の状態等に関心があるのは各病院約90%代であったが、実際に患者にその後の様子を尋ねたことがあるのは約43~76%であった。また、退院後に必要な社会資源を患者に紹介する機会あったとする回答割合は約34~55%であり、実際に紹介したことがあると回答した割合は、約37~56%であった。自由記述回答では、地域連携実施における支障となることは、連携システムの不備、情報交換、情報不足などが出ていた。これを考慮したシステム構築が必要である。