抄録
昨今, 救急外来を受診する患者が激増し, しかも高い医療レベルと正確な診断処置が要求されるようになっているが, これは医師への急激な負担増を来たし, 安全管理の面でも大きな問題となっている. 当院では, 2003年4月, 新しい救急施設ER-Yokkaichiを開設するにあたり, 医師の勤務体制を一新し, 比較的順調に業務を行えているので報告する.
以前の医師勤務体制: 1年目, 2年目研修医1名ずつ計2名, 内科系医師1名, 外科系医師1名が勤務していた. 全員翌日は通常勤務. まず, 研修医が診察し, 入院などを必要とすると判断した場合には, 内科か外科の当直医に相談した.
2003年以降の体制: 1年目, 2年目研修医1名ずつ計2名, 3, 4年目医師1名を救急医とし各科より供出, 内科系当直医1名, 外科系当直医1名の計5人体制. 研修医2名と救急医は当直ではなく, 夜間勤務とし, 翌日の勤務を前倒し, 翌日は休みとした. 当直医2名は当直勤務であり, 翌日勤務. 患者は, 原則研修医が診察したものを救急医がチェックするダブルチェックとし, 救急車搬送時には, 研修医と救急医で来院時から迅速に対応する. 医師の勤務体制の変革こそが, 救急医療を充実させるための重要な方法と考える. 今回, 研修医, 救急医を夜間勤務とし翌日休みにしたこと, 各科より救急医を供出しダブルチェック体制にしたことは, これらを解決するひとつの方法であると思われる.