抄録
本院では2003年より急性期軽症脳梗塞に対する新たなクリティカルパスを作成, 導入した. このクリティカルパスの評価, 改善のためバリアンス分析を行ったので報告する. 対象は2003年11月より2004年7月までに本院入退院し, 軽症脳梗塞クリティカルパスを使用した41例である. クリティカルパスは注射箋, 指示箋一体型のカーデックス式で14日入院を基本とした. Retrospectiveに脱落, 逸脱の有無とその要因を分析した. クリティカルパス使用41例中, 脱落は1例で入院後肺炎を発症しクリティカルパス使用を中止した. クリティカルパス完全使用40例中, 入院期間が予定より3日以上延長した正の逸脱は16例 (40%), 3日以上短縮した負の逸脱が10例 (25%), 予定より2日以内の逸脱なしが14例 (35%) であった. 逸脱群別に年齢に差は無いが, 男性では正の逸脱が多く, 女性では負の逸脱が多く見られた. 正の逸脱要因は合併症, 併発症が9例 (56%) であり, 患者の決断, 家族の受け入れが7例 (44%) であった. 併発症は糖尿病が4例と最も多く, 3例はインスリン新規導入例であった. 検査予約, 転院待ちが各1例あった. 病状が正の逸脱の要因となる例は1例のみで, 予後予測はほぼ適正であった. 負の逸脱の要因は軽症が9例 (90%), 本人の希望により外来加療後に入院した例が1例であった. バリアンス要因に医療スタッフはなかった. バリアンス分析によりクリティカルパスの問題点が明らかとなり, より洗練されたクリティカルパスへ更新予定である.