医療マネジメント学会雑誌
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保険薬局と病院の連携強化
患者アンケートに基づく新しい情報伝達ツールの試作運用
前堀 直美山林 元文安達 三郎袴田 皓志永江 浩史宮澤 総介
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2006 年 6 巻 4 号 p. 661-666

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抄録

現在の外来診療の流れの中で, 患者中心の服薬指導を行う上で対応に苦慮する場面や問題点が数多くある. 複数の適応症を持つ薬剤の服薬指導や外来で担当医にできなかった質問への対応, 告知状況不明のがん患者への対応等である. 入院中の患者とは異なり, 外来 (院外) では薬剤師 (保険薬局) と担当医 (病院・診療所) との間で病名・病状が共有できていない. その結果, 保険薬局では, 患者からの手探りの病歴聴取に頼る診断情報集めが日常化している. その事が患者の不安や不利益を生んでいるのではないかと考え, 今回われわれは, 患者アンケート調査および外来患者診断情報伝達ツールの試作・運用を行った.
自己記入式アンケート調査を200名の患者を対象に実施した. その結果, 76%の患者が自分の病名・病状を保険薬局の薬剤師もわかっていると思い込んでいること, 81%が服薬の安全性の確保などのために保険薬局の薬剤師にも自分の病名・病状を把握していて欲しいと望んでいることが明確になった.
保険薬局と病院間の連携強化を目的として, 総合病院泌尿器科の協力を得て, 病名や処方意図を伝達するオリジナルのツールを試作・運用した. 運用開始後19ヶ月間に79例126枚の情報伝達を受け, 当施設の薬剤師全員が患者状態に即した説明・指導を短時間に行えた症例を数多く経験した. 本ツールの活用により, 医師と保険薬局薬剤師との指導内容の整合性が図れ, 今まで以上に患者の期待に応えられる見通しが得られた.

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