日本医療マネジメント学会雑誌
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胃がん術後クリティカルパスにおける栄養管理
高橋 昌子佐藤 律子梨本 篤
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2008 年 9 巻 3 号 p. 455-460

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抄録

胃がんに対し現在使用している胃全摘術、幽門側胃切除のクリティカルパスにおいて食事内容が適正であるか否かについて検証するとともに術後低栄養状態の早期回復と患者の満足度を追及し、食事内容を部分的に改定したので報告する。対象は2006年8月から11月までの胃全摘29例 (T群)、幽門側胃切除78例 (D群) である。方法は入院中にアンケート調査を実施し、その結果をもとに食事開始6日目以降の主食を軟飯に変更した群 (飯群) と全粥継続群 (粥群) のBMIとアルブミン (Alb)、ヘモグロビン (Hb) の推移を比較検討した。結果は胃術後全粥食の摂取量はT群では主食副食ともに1/2以上摂取が86.2%、D群は1/2以上摂取が主食85.7%、副食90.9%であった。栄養補助食品は3種類の平均で1/2以上摂取がT群54.8%、D群69.5%であり、主食軟飯希望はT群37.9%、D群41%であった。BMI、Alb、Hbの推移は飯群、粥群の両群間に差を認めなかった。しかし、T飯群、D飯群ともにほぼクリティカルパス通りに経過することができた。また主食を軟飯にすることで副食のレパートリーが広がり、食材も多様になることから食事に対する満足度の向上に寄与できた。以上のことから現在のクリティカルパスの食事内容は適正であり、今後も継続使用が可能と判断した。また、胃がん術後の食事計画では食事開始6日目以降の主食を軟飯にすることができると判断した。

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