日本医療マネジメント学会雑誌
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9 巻 , 3 号
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  • 野村 一俊
    2008 年 9 巻 3 号 p. 401-403
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2011/03/16
    ジャーナル フリー
    地域連携クリティカルパスの運用が先行して行われている大腿骨頚部骨折シームレスケア研究会 (熊本市) からは、連携医療の標準化による連携医療の質と効率の向上効果が報告されている。地域連携クリティカルパスは、クリティカルパスの原則に則り作成・運用しなければ、効果的な連携医療の質向上は期待できない。2006年4月の診療報酬1改定において大腿骨頚部骨折を対象に新設され、2008年4月に脳卒中が対象に加わった地域連携診療計画管理料、地域連携計画退院時指導料の算定要件が、地域連携クリティカルパスの全てではないことを認識して作成・運用することも重要である。
  • 急性期医療機関の立場から
    藤本 俊一郎, 大原 昌樹
    2008 年 9 巻 3 号 p. 404-408
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2011/03/16
    ジャーナル フリー
    2005年11、目に香川県の中讃・西讃地域で設立したシームレスケア研究会で脳卒中地域連携クリティカルパスを作成し、運用している。シームレスケア研究会の活動は多職種医療者間のヒューマンネットワークの構築に有用であった。地域連携クリティカルパスの運用は円滑であるが、さらに下記のような新たな課題に対応を行っている。1) 中讃・西讃地域に加え、高松・東讃地域でもシームレスケア研究会を設立し、香川県全体で共通の脳卒中地域連携クリティカルパスの運用を開始した。2) 新たに在宅地域連携クリティカルパスを作成した。3) 医療法改定・診療報酬制度改定へ対応し、地域連携クリティカルパスを改訂した。4) より容易なデータの分析のため、また地域連携クリティカルパスソフトの機能を十分に利用するため、セキュリティーが確保されたK-MIX (Kagawa Internet Medical Exchange) を用いたインターネットを用いた運用を開始した。
  • 回復期医療機関の立場から
    平田 好文
    2008 年 9 巻 3 号 p. 409-414
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2011/03/16
    ジャーナル フリー
    熊本における脳卒中地域連携ネットワークの現状と13年間の地域連携を紹介した。機能分化と地域連携の意義を十分に話し合い2年間をかけて、脳卒中地域連携パスを作成した。われわれの地域連携クリティカルパスは急性期-回復期-維持期-在宅と発症が在宅まで継続する形式であり、リハ継続と治療の継続から成り立っている。現在65病院・施設が参加し運用している。今後、在宅医療を志しているクリニックの医師達が組織した在宅Drネットとの連携をすすめているところである。
  • 地域包括医療の観点から
    小川 克弘
    2008 年 9 巻 3 号 p. 415-420
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2011/03/16
    ジャーナル フリー
    青森県では、2005年度から2年間の事業として「地域連携クリティカルパス標準化モデル開発・普及事業」が実施されたが、2007年度からは、下北圏域の関係者らが自ら地域連携クリティカルパスに関する協議会と推進委員会を立ち上げ、引き続きその普及・定着を図っている。その中で、これまでの課題についても、その解決に向け取り組んでいる。即ち、院内職員への周知を画るための地域連携クリティカルパスに関する勉強会、クリティカルパスにのりにくい症例への対策、クリティカルパス表そのものの見直しなどである。また、退院前カンファレンスついては、インターネットメッセンジャーシステムを導入することで容易に開催できるようになった。さらに、下北地域における橋渡しネットワーク連絡会の開催や保健・医療・福祉に係わる施設や組織のネットワークの構築などをすすめている。
  • 県行政の立場から
    竹内 美知枝
    2008 年 9 巻 3 号 p. 421-427
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2011/03/16
    ジャーナル フリー
    行政には、住民の安心安全な暮らしを守るという責務がある。改正医療法に基づき都道府県は、2008年度から4疾病 (がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病) の医療機能の分化と連携および政策医療としての5事業 (救急医療、災害医療、へき地医療、小児医療、周産期医療) の連携について医療計画に明記し、その実現化を図ることとなった。
    本県では、在宅医療に取り組む経過の中から、切れ目のない医療を介護とともに在宅までつなぎ提供する連携の手段の一つとして「地域連携クリティカルパス開発事業」を2007年度から予算化し取り組みを始めた。本事業は、地域によって医療福祉資源が異なり生活文化も異なるため、最も地域を熟知し広い視野で中立的なコーディネート機能を持っ「保健所」を中心に、地域連携クリティカルパスの開発に取り組んでいる。
    また、地域連携クリティカルパスの成功は利用者である「住民の参加」が鍵となることから、今年度より保健所毎に開催する住民参加型の「地域から滋賀の医療福祉を考える懇話会」において相互に理解を深め、「地域の医療のことは地域住民が一番知っている県になる」ことを目指す。
  • 秋場 道代, 岩渕 勝好, 片桐 茂, 平川 秀紀
    2008 年 9 巻 3 号 p. 428-432
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2011/03/16
    ジャーナル フリー
    山形市立病院済生館では2006年1月に電子カルテシステムを導入し、同時に薬剤の取り違えと患者誤認防止目的で注射自動払い出しシステムとバーコード注射認証システムを取り入れた。本システム導入後の8ヶ月間の注射に関するインシデントを、同期間のすべての注射実施認証件数197,121件と突き合わせて分析した。
    当該期間の注射実施認証件数に対するインシデント発生率は0.049%であった。インシデントレベル別では、レベル0が0.009%、レベル1が0.033%、レベル2が0.007%で、レベル3以上はなかった。時間毎の発生率では7時、12時、17時、22時にピークがみられたが、実施件数のピークとは一致せず、実施件数の多寡は発生率に影響しなかった。薬効別にみたインシデント発生率では抗腫瘍薬が0.668%で最も高く、ついでホルモン剤の0.093%であった。ミキシングする薬剤数とインシデント発生率との関係では薬剤数が増えるとインシデント発生率が増加する傾向にあり、3剤以上のミキシングでは0.099%と有意に高率であった。通常オーダーと臨時オーダー間ではインシデント発生率に差はなかった。
  • 楠本 順子, 川崎 浩二, 高山 巌
    2008 年 9 巻 3 号 p. 433-437
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2011/03/16
    ジャーナル フリー
    病院における医療ソーシャルワーカー (MSW) 職務に対する他職種の認識状況、ならびにMSW専門職としてのあるべき姿を検討する目的で、MSW職務に関する評価をMSW、医療職、事務職間で比較するとともに、MSW自身の専門職としての自己評価を分析した。MSW、医療職、事務職645名が厚生労働省のMSW業務指針に準拠した質問票7分野22項目についてMSW職務の重要度を5点満点で評価した。MSWの自己評価は南らの専門職性自己評価項目7分野42項目を用いて、94名のMSWが理想と現実別に5点満点で自己評価した。MSWの職務評価では、生活に関わる間題や社会的支援情報に関する項目において、特に事務職とMSW間で評価の差が大きかった。MSWの自己評価において理想と現実の差が大きかったのは「知識・理論」「教育・自己研鑽」「専門的技能」に関する分野であった。理想得点が低かった分野は「自律性」であった。これらの結果から、MSWの職務を全病院職員が共通して認識、理解することが重要であり、MSWが専門的な知識・理論を習得するための教育・研修制度のシステムを構築し、充実させることがMSWの自律性にもつながると考えられた。
  • 杉 和洋
    2008 年 9 巻 3 号 p. 438-443
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2011/03/16
    ジャーナル フリー
    C型慢性肝炎患者治療人口の拡大の結果、その効果予測とともに治療期間の延長が必要な症例、治療の中止が必要な症例の見極め、副作用や肝臓がんなどの併発症の早期発見が重要になってきている。これらを一般医療機関で実施するのは困難な場合が多く、肝臓専門施設をはじめとする基幹病院との連携が望まれる。国立病院機構熊本医療センター関連施設に対してC型慢性肝炎診療上の問題点と連携に対する要望に関するアンケート調査を行った。その結果、外来診療における標準的診療手順としての地域連携クリティカルパスの開発と運用が望まれていることが判明した。これらの結果を基にペグインターフェロン・リバビリン併用療法地域連携クリティカルパスを作成し、2008年4月より運用を開始した。電子カルテ内で作成し、印刷したものを連携施設に送り、医療情報を記入、当院受診時に最新のデータとともに上書きし、電子カルテ内に保存する。これを繰り返すことで医療情報の共有化を図った。同時期より国と熊本県による肝炎治療特別促進事業が開始された。指定医療機関と治療実施医療機関との医療連携が基本となり、この点からも同クリティカルパスの運用が重要な役割を果たすと考えられる。
  • 佐治 直樹, 時本 清己, 小寺 正人, 今脇 節朗
    2008 年 9 巻 3 号 p. 444-450
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2011/03/16
    ジャーナル フリー
    脳卒中地域連携クリティカルパスの導入を見据え, モデルケースとして一つの回復期リハビリテーション病院 (石川病院; 兵庫県姫路市) と地域連携クリティカルパスを作成・運用し, 一年後の運用結果を検討した。地域連携クリティカルパス導入前と比較して入院日数は短縮傾向にあり, 回復期リハビリテーション病院 (以下, 回復期リハ病院) 退院時のmodified Rankin Scale (mRS) も改善していた。また, 急性期病院退院時と回復期リハ病院入院時における患者の日常生活動作を評価した結果の整合性や, 在院日数との関連を検討した。さらに両施設において見いだされた問題点や課題などを検討した。それらの問題点を改善し, 現在では多施設で運用する「地域連携クリティカルパス」へと運用体系を拡大している。
  • 大西 奈都子, 鳥取 博子, 多出羅 喜代美, 大平 隆博, 多田羅 昭二, 前原 孝, 横山 良樹
    2008 年 9 巻 3 号 p. 451-454
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2011/03/16
    ジャーナル フリー
    大腿骨近位部骨折は高齢者の骨折の中でも頻度の高い骨折であり、人口の高齢化に伴い増加傾向にある。2005年に当院において治療した大腿骨近位部骨折患者の約80%が近隣の医療施設へ転入院しており、情報の共有化が必要とされていた。
    そこで、2005年11月に香川県の中讃・西讃地域におけるシームレス研究会を設立し、地域連携クリティカルパスの作成に取り組んだ。他の施設と連絡を取り合うことで、在院日数やリハビリテーションの経過などの患者情報を共有することができた。
  • 高橋 昌子, 佐藤 律子, 梨本 篤
    2008 年 9 巻 3 号 p. 455-460
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2011/03/16
    ジャーナル フリー
    胃がんに対し現在使用している胃全摘術、幽門側胃切除のクリティカルパスにおいて食事内容が適正であるか否かについて検証するとともに術後低栄養状態の早期回復と患者の満足度を追及し、食事内容を部分的に改定したので報告する。対象は2006年8月から11月までの胃全摘29例 (T群)、幽門側胃切除78例 (D群) である。方法は入院中にアンケート調査を実施し、その結果をもとに食事開始6日目以降の主食を軟飯に変更した群 (飯群) と全粥継続群 (粥群) のBMIとアルブミン (Alb)、ヘモグロビン (Hb) の推移を比較検討した。結果は胃術後全粥食の摂取量はT群では主食副食ともに1/2以上摂取が86.2%、D群は1/2以上摂取が主食85.7%、副食90.9%であった。栄養補助食品は3種類の平均で1/2以上摂取がT群54.8%、D群69.5%であり、主食軟飯希望はT群37.9%、D群41%であった。BMI、Alb、Hbの推移は飯群、粥群の両群間に差を認めなかった。しかし、T飯群、D飯群ともにほぼクリティカルパス通りに経過することができた。また主食を軟飯にすることで副食のレパートリーが広がり、食材も多様になることから食事に対する満足度の向上に寄与できた。以上のことから現在のクリティカルパスの食事内容は適正であり、今後も継続使用が可能と判断した。また、胃がん術後の食事計画では食事開始6日目以降の主食を軟飯にすることができると判断した。
  • 東 禎二, 山田 浩司
    2008 年 9 巻 3 号 p. 461-466
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2011/03/16
    ジャーナル フリー
    当院では2003年9月、電子カルテの導入と同時にオートアンプルディスペンサーを用いた注射薬の出庫を開始した。翌年3月よりオーダ (施用) 単位ごとの返品入力およびオーダデータと実施データの差分を利用した出庫薬品のアリバイ管理、在庫薬品の補充を開始した。さらに透析システムや放射線システム等の部門システムで使用された注射薬の補充等も連携をとり順次行うようにした。これら消費管理の実施により実施入力漏れや入力忘れ・入力ミスが防止でき、作業や確認にかかわる工数が低減された。
    また現場在庫を毎日チェックすることにより、出庫部署単位での注射薬の入出庫管理が実現でき、不正使用・不正持ち出しが予防できる環境が整った。現場の在庫管理がオーダデータのみに基づいていることから、電子カルテどおりの注射施用を裏付けること (カルテの真正性の担保) にもなり、リスク管理にもつながっている。
    今回、われわれは残された部門システム連携を完成し、注射薬にかかわるすべての手書き伝票を電子化した。これにより現場だけでなく、病院全体の注射薬の入出庫管理を実現できた。またリアルタイムに在庫が確認できることから電子カルテのオーダデータ、実施データを活用した発注データの自動作成、在庫の欠品防止や大規模災害時の在庫把握・備蓄確保などにも応用が可能となった。
  • 坂本 篤彦, 泓 ヨシ子, 泉 早苗, 林 理恵, 下村 和佳恵, 武藤 敏孝, 尾上 泰弘, 岡嶋 泰一郎
    2008 年 9 巻 3 号 p. 467-471
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2011/03/16
    ジャーナル フリー
    アルコール含有綿 (酒精綿) の単包化製剤は、院内調整製剤やパック製剤よりも感染対策上望ましい。しかし、割高な単価によるコスト上昇、個別包装開封の手間による利便性低下、の2点に対する懸念が、導入を躊躇させる主因であると思われる。
    当院では以前より糖尿病患者のインスリン自己注射等に限って単包化酒精綿を使用してきたが、感染対策の観点から2006年6月より全病棟・外来で単包化酒精綿を導入して、従来の100枚入りパックからの移行を進めている。
    今回われわれは酒精綿単包化に伴う酒精綿のパック製剤・単包化製剤それぞれの使用量と購入額の変化を評価した。単包化製剤の全体に占める使用率は経時的に増加し、2007年2月には70%を超えた。一方、酒精綿の単価は上昇したが使用量は半減し、その結果、酒精綿にかかる総コストは増加しなかった。単包化により1回あたりの使用量が適正になり無駄な使用を避けられる事が、使用量減少とコスト低下に寄与したものと考えられた。
    また、導入後の病棟看護師を対象としたアンケートでは、パック製剤よりも単包化製剤を使いたいという意見がほとんどを占め、その理由として清潔や感染対策のほかに携帯性に優れる、使い勝手がよいなどの利便性向上を挙げるものが多かった。
    以上のとおり、酒精綿単包化により、コストは上昇せず利便性は向上しているとの結果が得られた。これらの結果は、酒精綿単包化の推進を支持するものであった。
  • 三輪 昌子, 秦 温信
    2008 年 9 巻 3 号 p. 472-476
    発行日: 2008/12/01
    公開日: 2011/03/16
    ジャーナル フリー
    高齢者の転倒予防への取り組みは各分野で行われており、理学療法士の転倒予防への関わりが求められている。転倒の危険因子には筋力低下やバランス障害が多く取り上げられている。近年、高齢者では加齢に伴いボディイメージの相違が生じると報告されている。そこで高齢者のボディイメージを検討するために、高齢者と20~30歳代の若年者を対象に実験を試みた。対象者は2枚の板の間を触れることなく通り抜けられる幅を予測する (予測値)。次に実際に通り抜けられる幅を測定する (実測値)。そして、対象毎に予測値と実測値の差を求め、比較検討した。結果、高齢者では若年者に比べて有意にその差が大きかった。予測値は対象者のボディイメージを示し、実測値は対象者の現実の身体を示すと考えられた。つまり、高齢者では加齢の影響によるボディイメージの障害が示唆された。高齢者の身体には加齢による変化が生じているが、その変化した身体の明確なボディイメージを形成できていないため、現実の身体との間に相違を生じていると考えられた。このことは、自分と物との距離感を正確に把握できないために起こる椅子からの転倒等に結びつくと考えられた。ボディイメージの評価方法は従来、動作分析が中心である。本方法を用いることで簡易に検査が可能であり、対象者にボディイメージの相違を伝えることで転倒予防に役立つと考えられた。
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