2017 年 16 巻 2 号 p. 1-18
Lactobacillus brevis KB290(KB290)を含む食品の摂取が,便通及び腸内環境に及ぼす影響を評価するために,便秘傾向(排便回数:2~5回/週)の健康成人64名(解析対象者56名(男性19名,女性37名),44.9±8.0歳(平均値±標準偏差))を対象に,無作為化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験を実施した.KB290の生菌を6.0×109 cfu以上含む食品の摂取により,排便日数や便の色,排便後の感覚の有意な改善が対照以上に認められた(p<0.05).また,KB290の摂取で,糞便中のLactobacillus属groupの増加(p<0.001, RT-PCR法)や,酪酸産生菌であるAnaerostipes属占有率の上昇(p=0.002, 次世代シーケンス法)が認められた.糞便中のプロピオン酸濃度の変化量がKB290摂取期で有意に高かった(p=0.045)ことからも,本試験で認められたKB290摂取による便通改善作用には,腸内の短鎖脂肪酸の増加が関与していると推測された.