健康・栄養食品研究
Online ISSN : 2189-9266
Print ISSN : 1345-8388
原著論文
Lactobacillus brevis KB290を含む食品の摂取が便秘傾向の健康成人における便通及び腸内環境に及ぼす効果の検証~無作為化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験~
荒川 千夏 鈴木 重德信田 幸大付 茂賓鈴木 聡砂堀 諭菅沼 大行
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2017 年 16 巻 2 号 p. 1-18

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抄録

Lactobacillus brevis KB290(KB290)を含む食品の摂取が,便通及び腸内環境に及ぼす影響を評価するために,便秘傾向(排便回数:2~5回/週)の健康成人64名(解析対象者56名(男性19名,女性37名),44.9±8.0歳(平均値±標準偏差))を対象に,無作為化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験を実施した.KB290の生菌を6.0×109  cfu以上含む食品の摂取により,排便日数や便の色,排便後の感覚の有意な改善が対照以上に認められた(p<0.05).また,KB290の摂取で,糞便中のLactobacillus属groupの増加(p<0.001, RT-PCR法)や,酪酸産生菌であるAnaerostipes属占有率の上昇(p=0.002, 次世代シーケンス法)が認められた.糞便中のプロピオン酸濃度の変化量がKB290摂取期で有意に高かった(p=0.045)ことからも,本試験で認められたKB290摂取による便通改善作用には,腸内の短鎖脂肪酸の増加が関与していると推測された.

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© 2017 公益財団法人日本健康・栄養食品協会
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