2013 年 10 巻 p. 21-29
体育科目における3種類の授業形態に注目して,自己効力感や無気力傾向,満足度の経時変化を検討した.それらは学外集中科目,学内実技,そして身体運動科学についての講義であった.これらの科目において,事前・事後・1か月後の3期に分けて自己効力感,無気力傾向に関する質問紙調査を行った.結果,学外集中科目の事後には自己効力感が高まり,無気力傾向が緩和された.しかし,一ヶ月にその効果が持続したのは無気力傾向の緩和のみであった.定期的に身体を動かす実技は,授業の継続によって漸進的な自己効力感の向上,さらには対人回避の抑制がみられた.そして講義では自己効力感や無気力傾向に積極的な効果はみられなかった.しかし15回の講義終了後には,長期的な視野での満足感が認められた.これら授業形態の特性を理解し,それぞれの形態に対して適切な授業内容の提供が求められる.